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お笑いと心霊。異例の二刀流を実践するシークエンスはやともが抱える課題と見据える今後

中西正男芸能記者
霊が見えるという能力を生かした活動を展開するシークエンスはやともさん

霊が見える特殊な能力を生かし、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などで注目を集めてきたシークエンスはやともさん(33)。YouTubeチャンネルなどでも心霊や都市伝説への独自のアプローチを展開しています。お笑いと心霊。対極にあるようにも思える二つの要素を有機的に絡める。その活動の根底にある思いを明かしました。

「霊=怖い」の構図

 小学3年の時に初めて霊が見えることに気づきました。親も実は見えるタイプの人間だったので、それが僕にもきたのか。それ以来、見えるということありきの日々を過ごしてきました。

 霊というのはもちろんほとんどの人間が見えないし、一生出会わずに人生を終える方がほとんどだとも思うんです。

 でも、なんとなく興味があるというか、ほとんどの人が初詣にも行くし、お盆になるとお墓参りにも行きます。なので、やっぱり気になる存在であることは間違いないと思うんです。

 ただ、それと同時に霊と言えば怖いというか、何か悪いことをしてくるような存在というイメージがあると思います。例えば、映画の貞子みたいな感じで、とんでもないことをしてくるんじゃないかと。

 これは、変にディスっているわけではなく、やっぱりエンターテインメントで霊を扱うとなったら「怖い」という存在にしないと成立しないんですよね。そうなると、イメージが固まってくるのも当然で。

 ただ、実際に見える人間からすると、僕が小学3年から見てきた霊はほとんどが怖くないんです。亡くなっている方たちに対して変な言い方にもなるんですけど、完全に“普通の人”なんです。

 女性だったらおどろおどろしい空気をまとった長い髪の人というイメージがあるかもしれませんが、実際には170センチくらいの大きな体格のギャルみたいな霊も、堂々と歌舞伎町を歩いていたりするんです。

 それが僕が見る事実ではあるんですけど、それを言っても信じてもらえない。やっぱりイメージなんですよね。

 霊=怖い。攻撃性がある。こちらに害を及ぼしてくる。そんなイメージがあるものの、実際にはそういう霊はほとんどといないんです。普通に街を歩いていてもほとんどの人が普通に歩いてるじゃないですか。すれ違っても何もしてこない。

 でも、一部気が荒い人がいたり、ガラの悪い人がいて、こちらに因縁をつけてくることもありますよね。ベビーカーを押しているだけでにらんでくるおじさんもいれば、少し目が合っただけで「ケンカを売ってるのか!」と言ってくる人もごくまれにはいます。そんな人と遭遇する確率と同じというか、ガラの悪い人がいる割合とほぼ一緒なんです。

 そうやってガラが悪い霊というか、そうなるにはいろいろな理由もあるんですけど、みんながみんなではない。それが僕が見てきて思うことですし、YouTubeでもそんな話をしていることでもあります。必要以上に恐れるというのも違うんじゃないかなとは考えています。

「霊が見える」をどう証明するのか

 今は仕事全部を100とすると、50くらいが心霊がらみ。40くらいが都市伝説系。残りの10くらいが相方とのネタとか純粋なお笑いの仕事という割合だと思います。

 霊の話をするということは死と近い領域の話になります。身内が亡くなったことをきっかけに興味を持ってもらう人もいますし、どうしても辛い思いと重なってくる領域でもあるので、きちんと自分が勉強をしておかないといけない。

 ましてや、エンタメという世界で霊の話をするなら、より一層、そこに真摯でないといけない。そんなことを思って、いろいろなツテを頼って勉強を重ねてもいるのが現状です。

 いろいろな知識を得ることもあるんですけど、今強く思っているのが霊が見えるということの証明、エビデンスをどうにか確立できないものかということ。僕が本当に見えているということが証明されない限り、お笑いのフリにもならないし、それを言ったところで「あ、そうなんですね」というところで止まってしまう。

 今は科学的にもそこにメスを入れようとする流れが進んでもいるんですけど、そこを確立できれば、いろいろと新しい世界が広がる。そして、インチキくさいこともなくなるだろうし、無駄に人が傷つくこともないのかなとも思っています。

 ただ、なかなかすんなりとはいかないのかもしれませんし、霊が見えたり、人の思いを直感的に把握できても、直接的に何か良いことがあるわけではない。

 でも、一つ明確に良かったなと思ったのが、去年子どもが生まれまして、まだ言葉を発せない赤ちゃんが何を考えているのか。何で泣いているのか。それが手に取るように分かった時に、初めて「良かった…」と思いました(笑)。

 まさか、見えるということが我が子との関係において役立つとは思ってもみなかったんですけど(笑)、何がどうつながるのか。どう展開していくのかが見えないからこそ面白い。そういう部分があるのも事実だと思いますし、これからも着実に積み重ねをしていきたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■シークエンスはやとも

1991年7月8日生まれ。東京都出身。小学3年生の頃、殺人現場を目撃したことがきっかけで霊が視えることに気づく。吉本興業所属。NSC東京校20期生。当初はコンビとして活動するが解散を経てピン芸人に。デビュー後、出演したオーディションライブをきっかけに霊視の能力があることを明かし、2016年から「女性自身」で連載「ポップな心霊論」がスタートする。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」に出演後オファーが殺到し、日本テレビ「行列のできる法律相談所」、フジテレビ「さんまのお笑い向上委員会」などに出演。22年、結婚。昨年からお笑いコンビ「ポンゴ」としても活動。YouTubeチャンネルも展開中。「霊視ができるようになる本」(サンマーク出版)など著書多数。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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