満塁で敬遠四球。1点を与えても強打者との勝負を避けた結果はどうなったのか
5月20日の9回表、5点をリードしていたニューヨーク・メッツは、ロサンゼルス・エンジェルスに2点を取られ、なおも無死満塁のピンチを迎えていた。打席にはマイク・トラウト。この時、メッツのテリー・コリンズ監督は1点を与えることを考えたという。試合後に行われた記者会見の映像を観ると、コリンズ監督はこう語っている。「最初は思った、勝負するよりも歩かせようって」
ベースボール・アルマナックによると、満塁での敬遠四球はこれまでに6度ある。歩かされたのは、アブナー・ダルリンプル(1881年)、ナップ・ラジョイ(1901年)、デル・ビソネット(1928年)、ビル・ニコルソン(1944年)、バリー・ボンズ(1998年)、ジョシュ・ハミルトン(2008年)だ。一方、歩かせたのは――ここはマウンドにいた投手ではなく、敬遠四球を指示した監督の名前を記すべきだろう――ジム・オローク、クラーク・グリフィス、ジョン・マグロー、メル・オット、バック・ショーウォルター(現ボルティモア・オリオールズ監督)、ジョー・マッドン(現シカゴ・カブス監督)だ。
史上初の満塁敬遠は、歩かせたチーム(守備側)がその時点で5点をリードされていたが、他の5度はいずれもリードしていた。そのうち、リードを保てなかったのは、その回に3点を取られ、同点とされたオット監督だけだ。サンプル数はごくわずかながら、5分の4という成功率は悪くない。オット監督の場合を含め、5試合とも歩かせたチームが勝利を収めた。
なお、トラウトはライトへフライを放ち、それによって三塁走者はホームを踏んだ。メッツからすれば、2点差とされたものの、敬遠四球を上回る結果となった。その後、メッツは追加点を許さずに試合を終えた。