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メルセデスが3勝!レッドブル・ホンダにとって重要なイギリス2連戦が始まる。

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

7月に開幕した「F1世界選手権」はレッドブルリンク(オーストリア)での2連戦とハンガロリンク(ハンガリー)での3戦を終え、シルバーストーン(イギリス)で7月31日〜8月2日のイギリスGP、8月7日〜9日のF1-70周年GPが開催される。

シルバーストーンはチーム国籍こそ違えど多くのチームが活動拠点を置く、いわばホームグランプリのようなもの。今季のチャンピオンを争うメルセデスとレッドブルも両者とも本拠地はイギリスだ。

メルセデスが圧倒的な強さ

ここまで3レースして、バルテリ・ボッタスが1勝、ルイス・ハミルトンが2勝とメルセデスが下馬評通りの速さを見せる。

レーシングポイントやマクラーレン・ルノーの躍進など昨年との勢力図変化はあるものの、トップ争いに関してはメルセデスが2014年から続く7連覇に向けて盤石の体制にある。この開幕3連戦は「今年もメルセデスか。。。」と多くのファンが答えを見出してしまう結果となった。

シュタイアーマルクGP、ハンガリーGPと連勝したハミルトン【写真:Daimler】
シュタイアーマルクGP、ハンガリーGPと連勝したハミルトン【写真:Daimler】

メルセデスの強さは3連勝、3連続ポールポジションという結果だけでも一目瞭然だが、ハンガリーGPでは昨年レッドブルのマックス・フェルスタッペンが記録したポールポジションタイムをルイス・ハミルトンがさらに1秒以上削り、決勝でもファステストラップを獲得した。

一方で開幕前はメルセデスとのギャップを縮めていたとみられていたレッドブル・ホンダは予想以上に苦戦。ハンガリーGPでは空力に問題を抱え、挙動が不安定であることをチームも認めることに。そんな中でもフェルスタッペンが2位表彰台を獲得できたのは唯一の救いだった。

イギリス2連戦で巻き返したいレッドブル

異次元の速さを見せつけるメルセデスは2戦連続でレースが行われる英国シルバーストーンのマイスターである。2014年のパワーユニット時代になってからイギリスGPで負けたのは1度だけ。2018年だけはフェラーリのセバスチャン・ベッテルに負けているが、それ以外は全てイギリスが母国のルイス・ハミルトンが勝利してきた。

今季からメルセデスが導入したDAS(デュアル・アクシス・ステアリング)は大きなアドバンテージになっており、それを武器にイギリスの2連戦も彼らは優位にレースを進めてくるだろう。今シーズン全戦全勝しても何ら不思議ではないほど彼らは抜きん出ている。

レースをリードするメルセデス【写真:Daimler】
レースをリードするメルセデス【写真:Daimler】

追うレッドブル・ホンダには今のところメルセデスをキャッチアップできる要素がほとんどない。現時点ではルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の差は30点。フェルスタッペンが開幕戦でリタイアによる無得点になったことで、その差はすでに1レース分以上開いてしまっている。今後のチャンピオンシップを考えると、シルバーストーンでの2連戦はレッドブルにとっては重要なターニングポイントだ。

躍進するレッドブルのライバルたち

一方でレッドブルにとっては想定外のライバルがいることも不安の種。そのライバルはランキング5位に沈むフェラーリではなく、「ピンク・メルセデス」ことレーシングポイント・メルセデス、そして復調してきたマクラーレン・ルノーだ。

レーシングポイントはハンガロリンクでランス・ストロールが自己最高位の3番グリッドを獲得し、決勝も4位でフィニッシュ。チームメイトのセルジオ・ペレスも表彰台こそ獲得できていないが、マシンのポテンシャルは表彰台の常連となっても不思議ではないものがある。

また、マクラーレンは予選での速さが光る。開幕から3戦連続でQ3に2台揃って進出し、第2戦のシュタイアーマルクGPではカルロス・サインツが3番グリッドを予選で獲得した。決勝レースでの戦闘力はメルセデス、レッドブルのトップグループに匹敵するものではないが、一発の速さでレッドブルは彼らに負けているのが現状である。

スタート前のクラッシュから決死の修復、そして2位獲得に歓喜するレッドブルのクルー【写真:Red Bull】
スタート前のクラッシュから決死の修復、そして2位獲得に歓喜するレッドブルのクルー【写真:Red Bull】

10チーム中7チームが活動拠点を置くイギリスでの2連戦。例年7月中旬に行われるイギリスGPが8月に開催されるのも異例。天候の変化を読み、レッドブル・ホンダには一矢報いてほしいものだ。

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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