世界が注目する!MetaのAIモデル『Llama2』がMicrosoftと連携拡大
KNNポール神田です。
■『Llama2』の『パラメータ』は最大700億(70Billion)パラメータ
しかし、単純にパラメータ数だけで比較すると、Meta社のLlamaの70億パラメータは、ChatGPT3の1,750億パラメータのわずか、40%にしか満たないのだ…。
https://techcommunity.microsoft.com/t5/educator-developer-blog/chatgpt-what-why-and-how/ba-p/3799381
ChatGPT3.5では3,550億パラメータとChatGPT3.0の約2倍となり、Llama2はChatGPT3.5と比較すると、19.71%となる。
さらに、ChatGPT4では、1兆7,600億パラメータとさえ言われているのでその差は歴然の差(3.9%)となることだろう。パラメータ数だけで単純に比較はできないが、一つ前のGPT-3程度と考え、決してGPT4レベルの期待は、抱かないほうが良いだろう。
■オープンソースであること、無料であること、Meta社の技術であることの意味
しかしだ、MicrosoftとMetaがこの提携によって、もたらす成果としては、オープンソースとして公開され、有料でAzureでホスティング利用されるということにある。
OpenAIの最大の出資者であるMicrosoftであるが、Azureのビジネスとしては、各種の大規模言語モデルにすべて対応できることのほうがメリットがある。
そして、学術研究系でもビジネス系でも無料で使えるということは、クラウドでクローズドに利用したい人にとってはとても魅力的だ。最新の高度なAIを駆使するまでもなく、業務で発生する単純なルーティーンワークを処理させるには適切なAIの利用ケースであろう。
同時にMeta社にとっても、メタバース企業と舵をきったものの、その概念そのものが抽象的過ぎたが、直近の『Threads』の1億ユーザー登録なども含めて、株価は2年前の株価に戻りつつある。時価総額は 6,903億ドル(95.9兆円@139円)だ。
https://finance.yahoo.co.jp/quote/META?term=2y
Meta社のビジネスモデルは各種SNSの事業ブランドによる広告モデルだ。オープンソースとして公開した『Llama2』から直接の広告収入は難しいかもしれないが、利用企業などが、SNSに変わるような新規のプラットフォーム事業を提供した場合、サポートとともに広告モデルをアドオンにするようなことも当然プランとして想定されていることだろう。それが、Meta社だからこそ、個別のSNSを独立させながらも、SNSで培った人々の日常をAIのサポートビジネスとして利用活用することができる。何よりも、個別の巨大なSNSのデータを、大規模言語として学習させているはずなので、SNSのAI化という意味ではパラメータ数に依存しない、人々の『承認欲求』の具現化をAIパワーで分析することが可能なのだ。
単純に、SNSで言及したり、反応した『ワード』に対して『広告主』を紐付けするのではなく、購買に結びつくところまでアドバイスし続けるAI機能をかねそろえたSNSへの対応が可能だ。Amazonにも、Googleも持ち合わせていない、『Llama2』は、『SNS』という巨大な人間の煩悩の大規模言語モデルであるかもしれないからだ。
■ChatGPTのOpenAIに出資のMicrosoftが、MetaのLlama2もサポートする理由は?
この発表に一番驚いたのが、MicrosoftのAzure上でも利用可能という点である。そう、MicrosoftはChatGPTのOpenAI社の最大のスポンサーでもあるからだ。
なぜ?Meta社の大規模言語モデルの『Llama2』をクラウドサービスの『Azure』でサポートするのか?
マイクロソフトのオフィシャルブログでこのような声明があった。
Microsoftにとって、クラウドの『Azure』でのサービス利用やWindowsでのローカルでの利用で、ユーザーが、ChatGPTなどを含めた多数のAIの大規模言語モデルの選択肢を増やせることに価値を見出しているからだ。
何よりも、Meta社が、Facebookをローンチしてからの最初の広告パートナーは、なんといってもMicrosoftだったというFacebookとの関係性でもある。
■メタのLlama2 ダウンロードの案内サイト
大規模言語モデル『Llama2』のパラメータは、70億、130億、700億と3種類用意されている。
そして登録すると送られてくるリンク先は、なんと、『GitHub』であった。
そう、『GitHub』は2018年にMicrosoftが75億ドルで買収している。
■『GitHub』に『Llama2』のリポジトリ(保管場所)が公開されている。
https://github.com/facebookresearch/llama
ChatGPTの登場によって、AIの民主化が一気に進化し、さらにエンジニア、そして企業ユーザーが自由に大規模言語モデルを駆使できるようになった2023年。
GAFAM企業群の第二次世界AI大戦では、新たな同盟が組まれようとしている。Amazonは、Appleは、そしてGoogleはどう対応していくのだろうか?
Meta社によれば、Amazonの Amazon Web Service(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)やHugging Face(ハギングフェイス)などのプラットフォームでも『Llama2』は、利用できるという。
少なくとも、『スマートスピーカー』あたりは、口語体でのチャットで、いろんなことができそうだ。AmazonもGooogleもAppleも『AIスピーカー』ならば、いつ発表してもおかしくない状況だ。
当然、MicrosoftがAIへの入出力デバイスとして、『AIスピーカー』を登場させたほうが早そうでもある。スマートフォンでの『Bing』はすでに音声対応である。