「手負い」のバルサと「調整中」のマドリーが激突。クラシコでポイントになる「アンカー」の使い方。
両者が万全な状態で迎えるビッグマッチ、とはならなかった。
現地時間16日に行われるリーガエスパニョーラ第9節で、レアル・マドリーとバルセロナが対戦する。マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウで、シーズン前半戦のクラシコが開催される。
ただ、マドリーとバルセロナの2チームが、共に良いコンディションでクラシコを迎える展開にはならなかった。
苦しんでいるのは、バルセロナだ。
バルセロナはミッドウィークに行われたチャンピオンズリーグ・グループステージ第4節でインテルと対戦。本拠地カンプ・ノウで3−3と引き分けた。その結果、CLのベスト16進出が非常に厳しい状況となっている。
「チャンピオンズリーグは厳しくなった。これからはラ・リーガに集中する」とはインテル戦後のシャビ・エルナンデス監督の言葉だ。
そこから切り替えて最初に対峙しなければいけないのがマドリー、というのはタフな日程である。
■中盤の間延び
バルセロナは、クラシコを前に問題を抱えている。
それは中盤のところだ。インテル戦では、セルヒオ・ブスケッツが2失点目に絡み、業火の如く批判を浴びた。だが本質はブスケッツ個人のミスではなく、チームとして、組織としての構築にある。
予兆はあった。インテル戦前のゲームで、バルセロナはセルタと対戦している。その試合、ブスケッツとジョルディ・アルバが言い合いになるシーンがあった。84分には、ゴンサロ・パシエンシアを倒したブスケッツにイエローカードが提示された。
ブスケッツは今季、被イエローカード数が多い。ラ・リーガでは8試合で7枚、CLでは4試合で2枚のイエローをもらっている。その事実が意味するのは、バルセロナの「中盤の間延び」だ。
ブスケッツ、ガビ、ペドリ・ゴンサレス。この3選手が、バルセロナの中盤で不動の存在となっている。
だがインサイドハーフの2枚には、攻撃への参加が求められる。ペドリには、CFのロベルト・レヴァンドフスキの近くでプレーすることが、ガビにはニアゾーンランでのポケット攻略が要求されている。
また、シャビ監督はウィングにワイドに開くことを求めている。ハフィーニャ、ウスマン・デンベレ、彼らは基本的に張っている。そのサポートに行くのもインサイドハーフの役割で、ゆえにペドリやガビの運動量は増える。そして、最終的にはそれが中盤の間延びにつながってしまう。
中盤が間延びすると、攻守の切り替えの部分で、ボランチの選手の負担が大きくなる。バルセロナの場合、ワンアンカーのシステムなので、必然的にブスケッツがその責めを負う。ホームのインテル戦では、大きなミスで失点に絡んだが、元々構造的に「ボランチのミスが起きやすい」チームになっていたのだ。
■レアル・マドリーの状態
一方、マドリーはチャンピオンズリーグ・グループステージ第4節でシャフタール・ドネツクに1−1と引き分けた。「我々のプレーの内容は悪かった」とカルロ・アンチェロッティ監督が反省の弁を口にしていたが、欧州の16強入りを決めている。
無論、マドリーにも課題はある。
マドリーの課題、それは両ゴールエリアに他ならない。具体的には、カリム・ベンゼマとGKティボ・クルトワのコンディションだ。
ベンゼマは9月、負傷でおよそ1カ月戦列から離れた。ベンゼマが不在の間、アンチェロッティ監督はエデン・アザールやロドリゴ・ゴエスをCFのポジションに据えて凌いだ。
しかし、ベンゼマは復帰してからも、トップコンディションに戻っていない。それはチームの結果にダイレクトに反映される。直近の2試合、シャフタール戦(シュート数36本/1得点)、ヘタフェ戦(19本/1得点)と得点数が少なくなっている。なお、得点を記録したのはアントニオ・リュディガーとエデル・ミリトンで、いずれもDFの選手だ。
他方で、守備面ではクルトワの不在が響いている。
クルトワはリーガ第6節アトレティコ ・マドリー戦(2−1)以降、負傷で試合を欠場している。GKアンドリュー・ルニンが先発した直近4試合で、マドリーがクリーンシートを達成したのは1試合のみだ。
■システムチェンジの可能性
今回のクラシコにも、クルトワは間に合いそうにない。しかし、そのようなシチューエンションで、アンチェロッティ監督が手を拱いていたわけではない。イタリア人指揮官は、システムチェンジを断行した。
マドリーは【4−3−3】を基本布陣としていた。その布陣を変更して、アンチェロッティ監督はダブルボランチのシステムを導入している。
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