ソフトバンクはなぜ、キャンプ「3勤1休」なのか
大半のチームが「4勤1休」
宮崎市で行われている福岡ソフトバンクホークスの春季キャンプは5日から第2クールに突入した。
この5日は、キャンプ休日のチームが大半だ。練習を行っているのは12球団中ソフトバンクとヤクルトの2球団のみである。
日本のキャンプは4日間練習して1日休む「4勤1休」のスケジュールが主体だ。かつて落合博満監督が率いた時代の中日ドラゴンズのように、「6勤1休」体制で猛練習を課した例もあった。
3勤1休で、質の向上と故障防止
しかし、工藤監督はかねてから「3勤1休」を推奨していた。過去にはファンサービスを考えて週末に練習日を設定したことから、このスケジュールにならない年もあったが、監督就任2年目の2016年に「3勤1休」を導入。メリハリを重視し、それが練習の質の向上、さらには故障防止になると説いていた。
「練習が4日間あると、必ずどこかで抜いてしまう。3日間ならば、初日と2日目を頑張って、3日目は『さ、明日は休みだから頑張ろう』となる」
特にキャンプ序盤は選手たちも疲れを感じやすい。自主トレでしっかり体を作ってきたとしても、ユニフォームを着る緊張感もあるし、チームとして動くことで自主トレとは違う負荷が心身ともにかかってくる。
「集中力を切らした状態で練習をやっても、怪我につながるだけ」とも、工藤監督は話していた。
では、ソフトバンクの選手たちはのびのび、ラクラクと春季キャンプを送っているのかと言えば、まったくの真逆である。
練習量は確実に増加
特に今年は小久保裕紀ヘッドコーチが新たに就任したことで、野手のスイング量が増している。球場での屋外フリー打撃は練習箇所を増やすなどして「休みなしで1時間は振れる」という仕組みづくりがされた。それが終わっても、屋内練習施設「はんぴドーム」にバットを持って移動してまた打ち込む。選手たちが外に出てくる頃にはすっかり日が暮れており、昨年までより確実に練習時間は長くなった。
「自分の経験だけで物事を喋ってはいけないけど、現役時代は1月の自主トレまでに大きな体をつくって基礎体力をつけて、2月のキャンプは技術練習に打ち込んできた。飛距離を伸ばすとか技術を高めるには振り込むしかない。量を振れるのも2月の1カ月間しかない。となれば、一日1000スイングくらいは必要になる」(小久保ヘッド)
プロ野球の頂点に君臨し続けるソフトバンクは、日本一密度の濃い春季キャンプでパ・リーグ連覇と5年連続日本一に向かって進みだしている。