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台風7号の雨に警戒 46年前は「昭和47年7月豪雨」

饒村曜気象予報士
気象衛星「ひまわり」から見た台風7号周辺の水蒸気の分布(7月3日6時)

台風7号が九州北部に接近

 台風7号が強い勢力で東シナ海を北上しています。台風の中心付近では強い雨が降っていることに加え、台風の東側でも、南から暖かくて湿った空気が流入していますので、西日本では大雨となっています(図1)。

図1 台風7号をとりまく雲の状況(7月3日6時)
図1 台風7号をとりまく雲の状況(7月3日6時)

 台風7号は、今後、対馬海峡を通って日本海に入り、北海道に接近する可能性があります。進路が南寄りを通った場合は九州北部に上陸する可能性があります(図2)。

図2 台風7号の進路予報図(7月3日6時発表)
図2 台風7号の進路予報図(7月3日6時発表)

 台風の進路予報は、常に最新のものを利用してください。

 九州北部では7月3日の昼前から暴風雨の可能性が高いので、雨や風に厳重な警戒が必要です(図3)。

図3 長崎県下五島と長崎地区が風速25メートル以上の暴風となる確率
図3 長崎県下五島と長崎地区が風速25メートル以上の暴風となる確率

 

台風7号の名前は「雨の神」

 台風には、平成12年(2000年)から、台風防災にあたる日本など14国・地域で作った台風委員会が名前(アジア名)をつけています。

 台風委員会の加盟国・地域がおのおの10個ずつ提案した、合計140の名前のリストから順々につけられるのですが、台風7号の名前(アジア名)は、タイが提案した「プラピルーン(Prapiroon)」です。意味は「雨の神」です。

 今から、46年前の、昭和47年(1972年)7月3日から13日は、長崎県世知原で総降水量が1157ミリなど、西日本を中心に各地で梅雨前線による豪雨で山崩れや崖崩れが相次ぎ、死者・行方不明者200人、全半壊・流出家屋1265棟、床上浸水家屋6674棟など大きな被害が発生しています。

 気象庁が「昭和47年7月豪雨」と命名したほどの豪雨による災害です。

 「雨の神」という意味の名前の通り、西日本を中心に日本に大雨をもたらそうとしています。梅雨末期は大雨による大災害が発生しやすいのですが、梅雨前線に台風がからむと特に危険です。

 西日本だけでなく、梅雨前線の雨が降り続いていて、これから台風が近づく北海道でも大雨に厳重な警戒が必要です。

 また、台風7号のあとを追うように、活発な積乱雲の塊(水蒸気の塊、タイトル画像参照)が北上していますので、台風7号が過ぎ去ったあとでも、大雨や雷雨、突風の可能性があります。気象情報には引き続き注意してください。

図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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