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1日16時間労働の日々。それでも私は結婚したい~お見合いおじさん活動月報(14)~

大宮冬洋フリーライター
イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、いまだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去3人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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平日は深夜まで残業。土日もどちらかは仕事です

「担当案件が火を噴きまくっていて、最近は深夜0時過ぎにようやく帰宅する毎日です。自宅で2時頃まで事務作業をすることもあります。翌朝は8時前には家を出て出社するのですが、眠くて眠くて……」

 経営コンサルタントの山本啓二さん(35歳)と一緒に、深夜の電車で揺られています。最近、啓二さんがあまりに元気がないので、「近況を聞かせてください」と声をかけると、「平日は残業続きで時間が取れません。土日もどちらかは仕事をしていて、休みの日はひたすら寝ています」との返事。ますます心配です。

 ゆっくり食事をしている暇はなさそうなので、お互いの帰り道で待ち合せて電車内で話を聞くことにしました。案件が火を噴いているって、何が起きたのですか?

「クライアント企業の担当者が急に辞めてしまったりして、案件の進捗が大幅に遅れているんです。納期に間に合わせるために、クライアントも我々も必死で働いています。私の後輩にあたる若手は今年の正月は1日も休めませんでした」

 電通の事件が起きて以来、「高給取りだから長時間労働は当たり前」という暗黙の了解は通用しなくなっています。でも、啓二さんのような無茶な働き方をしている人はまだまだ少なくありません。

 啓二さんもずっと忙しいわけではありません。担当案件によっては余裕があるときもありますし、1つの案件が無事に終了して次の仕事がスタートしていない時期は長期休暇を取ることもできます。

一番大事なのはキャリアでも信用でもなく、自分自身の健康です

 とはいえ、他人が啓二さんのスケジュールに合わせて動いてくれるわけではありません。友だちであれば、暇な時期だけ声をかける付き合い方もできます。でも、恋人や配偶者はそうはいきません。お互いの予定を調整して、定期的にデートをしたり共同生活を営んだりする必要があるのです。もちろん、相手には相手の都合があります。正直言って、啓二さんの現在の働き方では恋愛や結婚をするのは難しいのではないでしょうか。

「そうかもしれませんが、がんばりたいです。大宮さんに初めてお会いしたとき、私はまだ31歳でした。あの頃に同じく独身だった女友だちは今2人目の子どもを妊娠中です。結婚相談所に入って相手を見つけたと言っていました。うらやましいです。うちの兄は離婚をしてしまったので、僕がそろそろ結婚をして子どもを作り、両親を喜ばせてあげたいんです」

 啓二さんは忙しさを言い訳にせずに婚活をがんばっているようです。でも、「仕事が詰まり過ぎていて、合コンやデートに遅刻したり寝過ごしたりリスケをお願いすることが多い」とのこと。それではモテようがありません。

「先日、2時間遅れで参加した合コンで、笑顔がかわいい31歳の女性と連絡先を交換できたのです。その後、一度だけ2人で食事に行きました。私としては会話が弾んだと思っていたのですが、次の約束を取り付けることができていません。何が悪かったのでしょうか……」

 啓二さん、この場を借りてちょっと厳しい指摘をさせてください。今のあなたは正直言って魅力的ではありません。生活の不規則さと睡眠不足が原因なのか、ちょっと不健康な太り方をしていますよね。髪や肌、洋服などの身だしなみも荒れています。どんなに取り繕っても、「膨大な仕事量に追われて疲れ過ぎている」「時間にも気持ちにも余裕がない」ことを隠し通すことは不可能です。普通の女性であれば、一緒に食事をすればすぐにわかるでしょう。電車で隣に座って話しているだけの僕が察知できるのですから。

 いまの案件が終了したら、しばらく会社を休むことはできないでしょうか。少なくとも1週間は休んで、自分がどのように生活したいのかをじっくりと真剣に考えてください。転職をするという選択肢もあると思います。このままでは結婚するどころか病気になってしまいますよ。一番大事にするべきはキャリアでも信用でもなく、自分自身の健康だということを忘れないでください。

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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