15%以上の利回りも可能! iDeCoで目指す明るい老後
定年退職後に必要な貯金額は夫婦の場合で約2500万円、単身の場合で約1500万円からという試算を出すファイナンシャル・プランナーも多いです。現在の高齢者の家計簿を見ても公的年金ではすべての生活費をまかなうことができず、平均的に毎月3~5万円程度貯金を切り崩して生活をしているからです。
公的年金以外にも老後の備えが必要なのですが、2000万円前後もするお金をどのようにして貯めればよいのでしょうか。そこで今話題になっているのが「個人型確定拠出年金(iDeCo)」という制度です。
確定拠出年金制度とは公的年金制度に上乗せして給付を受け取れる私的年金制度です。2017年1月から原則として60歳未満のすべての人が利用できるようになりました。60歳まで毎月一定額を拠出して、自分が指定した金融商品で運用をし、その運用益を老後資金にまわすことができます。注目したいのは税制優遇が手厚いことです。1.拠出時、2.運用時、3.受取時の3段階にわかって税制優遇が受けられるのです。
1.拠出時の税制メリット
非常に大きいメリットとして、積み立てた(拠出した)金額が全額所得控除されるということがあります。 例えば、年収400万円、所得税率5%の人が毎月2万円、年間24万円拠出したとすると、24万円を所得から控除し税金の計算をすることになります。その結果、所得税が1.2万円(24万円×5%)、住民税が2.4万円(24万円×10%)と合計で3.6万円税金が安くなります。金融商品のラインナップから定期預金を選択し、運用による増減がほとんどなかったとしても、年間で拠出した金額の15%の利回りが得られるような効果が出るのです。所得税率が10%の人の場合は住民税と合わせて20%、所得税率が15%の人の場合は合計で25%とより減税効果が大きくなります。
2.運用時は非課税
また、運用中も非課税です。通常の口座で投資信託を売却して利益を得たり、定期預金で利息を受け取ると利益に対して約20%の税金がかかりますが、確定拠出年金制度では運用中の利益は非課税です。利益からその都度税金を差し引かれることなく元本を増やし、運用に回すことができるので長期で資産を育てやすいのです。
3.受取時の税金の優遇
受取時も年金として受け取る場合には雑所得となり、公的年金等控除が適用されます。一時金として受け取る場合は退職所得となり退職所得控除が適用されます。退職所得控除は非常に控除が大きいので一時金で受け取るという方法も検討してもよいと思います。
ただ、この制度の最大の注意点としては拠出したお金は原則60歳まで引き出せないということがあります。また、加入期間が10年未満だと受給開始が可能となる年齢が更に上がる場合があります。
そのために老後まで引き出さないお金を運用する際にはこの制度を使い、結婚資金、マイホーム購入資金、子供の教育費などの近い将来使う予定のあるお金はNISA(少額投資非課税制度)など別の制度や金融機関の通常の課税口座などを利用するなど使い分けが必要になります。制度の特性に合わせて上手く使い分けると税制のメリットを活かすことができます。