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「自分自身の棋力を充実させて臨むということに尽きる」藤井聡太王将への挑戦を決めた羽生善治九段コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

羽生善治九段「(角換わりの将棋で、序盤早くに仕掛けた)ちょっとでも、なんていうか、もうゆっくりすることが難しく感じる局面になってしまったんで。まあ仕掛けてどうなるかっていうところだとは思ったんですけど。ただちょっとそのあとは全然、どういう展開になるか、全然予想がつかなかったです。(昼休後、豊島九段が36手目、銀を捨ててきたのが失着で)いや、銀を取ってさすがにいいはずだとは思ったんですけど。ちょっとそこから・・・。うーん。どう正しくまとめるか。うーん、ちょっとわからなかったですねえ。なかなか決め手が見つからない展開だったんで。いいとは思ってたんですけど。銀取って、飛車角交換になって。まあでも先手取れたんで。わるいはずはないとは思ってたんですけど。ちょっとでも、そのあとのまとまり方がよくわからなかったです。(形勢がよくなってきたと思ったあたりは?)いや、なんかでも、うーん・・・。なんかよくわかんないまま、ずっと指してました。駒得の分、ちょっと残ってればいいかなっていうぐらいの感じでやってたんですけど。まあでも(相手の攻め駒が強力な)二枚飛車なんで。ずっと気持ちわるい形だと思いますね。(99手目▲4四馬で)4四の金を取ったところは、たぶん勝ちになってると思って指しました。(リーグ6戦全勝で7期ぶりの七番勝負進出が決まった)大変なリーグ戦の中で結果が出せて非常に嬉しいですね。(全勝については?)全然それは想定はしてなかったんですけど。結果的にはいい形でリーグを終えることができて、よかったなと思っています。(藤井聡太王将とはタイトル戦番勝負では初対決)まあ、そうですね・・・。なんていうか、うーん、まあ、やっぱり対戦してみないとわからないところも多々あると思うので。まあ、それは、そうですね。シリーズが始まっていく中で、体感していくんじゃないかな、と思っています。(藤井王将はこれまでタイトル戦で敗退したことがないという第一人者らしい成績を残している。ここに挑むという気持ち?)まあ、そうですね。まあまあでも、なんていうか、自分自身のまず棋力を充実させて臨むということに尽きると思います。(タイトル戦登場は2年ぶり、また出られることについて)そうですね、まあ・・・。ずっとチャンスらしいチャンスもなかったので。今回、それがなんとか果たせてよかったな、というところですかね。(タイトル通算100期に向けての思いは?)もちろん結果としてそうなればいいでしょうけど。まあ、なんていうんでしょうかね。全然まだ、それにすごく近づいてるっていうわけではないので。しっかり自分自身の状態というか、総合的なものを上げていくしかないかなあ、というところです」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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