羽生九段タイトル100期に王手なるか――第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第5局展望
藤井聡太王将(20)=竜王・王位・叡王・棋聖に羽生善治九段(52)が挑戦する第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社主催)は第4局までを終え2勝2敗のタイスコア。第5局は2月25、26日に島根県大田市「さんべ荘」で行われる。
羽生九段にとっては前人未到のタイトル獲得通算100期に王手を掛けるかどうか、第5局は本シリーズ「天王山の戦い」になるだろう。
データを基に勝敗と展開を予想してみた。
<王将戦七番勝負日程・これまでの勝敗と戦型>
第1局 1月8、9日静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」
藤井王将(先手)の勝ち
一手損角換わり
第2局 1月21、22日 大阪府高槻市「摂津峡花の里温泉 山水館」
羽生九段(先手)の勝ち
相掛かり
第3局 1月28、29日 石川県金沢市「金沢東急ホテル」
藤井王将(先手)の勝ち
後手雁木
第4局 2月9、10日 東京都立川市「SORANO HOTEL」
羽生九段(先手)の勝ち
角換わり腰掛銀
第5局 2月25、26日 島根県大田市「さんべ荘」
第6局 3月11、12日 佐賀県三養基郡「大幸園」
第7局 3月25、26日 栃木県大田原市「ホテル花月」
調子はほぼ互角
<藤井王将の最近10局>(相手の肩書きは対局当時)
1月15日 朝日杯将棋オープン戦本戦
対増田康宏六段 ○
1月18日 順位戦A級
対豊島将之九段 ○
1月21、22日 ALSOK杯王将戦七番勝負第2局
対羽生九段 ●
1月28、29日 ALSOK杯王将戦七番勝負第3局
対羽生九段 ○
2月1日 順位戦A級
対永瀬拓矢王座 ●
2月5日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局
対渡辺明棋王 ○
2月9、10日 ALSOK杯王将戦七番勝負第4局
対羽生九段 ●
2月18日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第2局
対渡辺棋王 ○
2月23日 朝日杯将棋オープン戦準決勝
対豊島九段 ○
2月23日 朝日杯将棋オープン戦決勝
対渡辺名人 ○
<羽生九段の最近10局>
12月22日 順位戦B級1組
対丸山忠久九段 ○
12月27日 王座戦2次予選
対千田翔太七段 ○
1月8、9日 ALSOK杯王将戦七番勝負第1局
対藤井王将 ●
1月12日 順位戦B級1組
対千田七段 ●
1月16日 竜王戦1組
対佐藤天彦九段 ○
1月21、22日 ALSOK杯王将戦七番勝負第2局
対藤井王将 ○
1月28、29日 ALSOK杯王将戦七番勝負第3局
対藤井王将 ●
2月6日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ紅組
対徳田拳士四段 ○
2月9、10日 ALSOK杯王将戦七番勝負第4局
対藤井王将 ○
2月14日 順位戦B級1組
対横山泰明七段 ○
藤井王将の直近10局は7勝3敗とまずまず。ただし朝日杯の将棋は準決勝まで苦しい将棋の連続で絶好調とはいい難い。
羽生九段は王将戦リーグを6連勝で勝ち上がった勢いを維持し直近10局は7勝3敗、調子の比較では互角と見ていいだろう。
過去の直接対決は藤井王将が9勝3敗と勝ち越しているが、今回の七番勝負で2勝を挙げ羽生九段は確かな手応えを感じているに違いない。
羽生九段の「切り札投入」あるか
戦型はこれまで4局とも相居飛車で羽生九段が後手番で第1局に一手損角換わり、第3局に雁木と意表を突く「後手番戦略」を用い工夫をしているのが目立つ。
トップクラスのタイトル戦番勝負では先手番の勝率が高いのは定説となっているから、第5局で羽生九段が後手番の不利を克服して勝つことができれば第6局は先手番、一気に優位に立つことができる。
羽生九段は昨年からしばしば後手番で横歩取りに誘導し復調につなげたこともあって、このあたりで切り札の横歩取りを投入する可能性は少なくないだろう。