藤井竜王4連覇か、佐々木八段初戴冠か――第37期竜王戦七番勝負展望
藤井聡太竜王(22)に佐々木勇気八段(30)が挑戦する第37期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)は10月5、6日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で第1局が行われる。
藤井竜王(名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖)は4連覇が、佐々木八段にとっては初タイトル獲得がかかる七番勝負だ。
データを基に勝敗と展開を予想してみた。
<竜王戦七番勝負日程>
第1局 10月5、6日 東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」
第2局 10月19、20日 福井県あわら市「あわら温泉 美松」
第3局 10月25、26日 京都府京都市「総本山仁和寺」
第4局 11月15、16日 大阪府茨木市「おにクル」
第5局 11月27、28日 和歌山県和歌山市「和歌山城ホール」
第6局 12月11、12日 鹿児島県指宿市「指宿白水館」
第7局 12月18、19日 山梨県甲府市「常磐ホテル」
宿命のライバル対決
<藤井竜王の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)
7月6、7日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第1局
対渡辺明九段 ○(千日手指直し)
7月17、18日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第2局
対渡辺九段 ●
7月30、31日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第3局
対渡辺九段 ○
8月12日 NHK杯本戦
対西山朋佳女流三冠 ○
8月19、20日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第4局
対渡辺九段 ○
8月27、28日 伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第5局
対渡辺九段 ○
9月4日 王座戦五番勝負第1局
対永瀬拓矢九段 ○
9月18日 王座戦五番勝負第2局
対永瀬九段 ○
9月21日 将棋日本シリーズ
対佐々木大地七段 ○
9月30日 王座戦五番勝負第3局
対永瀬九段 ○
<佐々木八段の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)
7月25日 竜王戦決勝トーナメント
対佐藤康光九段 ○
7月29日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局
対広瀬章人九段 ○
8月2日 ALSOK杯王将戦2次予選
対三枚堂達也七段 ○
8月9日 順位戦A級
対稲葉陽八段 ○
8月13日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局
対広瀬九段 ○
8月27日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選
対高崎一生七段 ○
9月4日 ALSOK杯王将戦2次予選
対梶浦宏孝七段 ○
9月12日 順位戦A級
対中村太地八段 ○
9月27日 叡王戦予選
対千田翔太八段 ○
10月1日 ALSOK杯王将戦リーグ
対近藤誠也七段 ●
藤井竜王の直近10局はほとんどがタイトル戦で強敵ばかりを相手に9勝1敗といつもながらの高勝率で大きな不安材料は見当たらない。
佐々木八段は藤井竜王が棋士デビューから29連勝した際、2017年夏に30人目として戦い、連勝をストップさせたのは印象に残る。また今年春にはNHK杯決勝で藤井竜王を破り連覇を阻止するとともに自身の初優勝を飾った。注目を浴びる舞台でたびたび激突する2人は「宿命のライバル」といっていいだろう。佐々木八段は今年度も各棋戦でまんべんなく勝ち星を挙げ、直近の成績も9勝1敗、好勝負が期待できそうだ。
戦型は角換わり中心か、接戦を期待
過去の直接対決は藤井竜王の4勝2敗。戦型は過去の対戦と最近の選択傾向からどちらが先手になっても角換わりが本命で、その次に相掛かりの採用率が高そうだ。最近角換わり後手番で藤井竜王が見せるようになった「変化技」にも注目したい。
総合すると、対戦成績やタイトル獲得実績に差があっても挑戦者は勢いに乗っており、七番勝負は接戦になると見ている。