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ファーウェイのウエアラブル4倍に拡大、世界第3位に浮上

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米国の市場調査会社IDCがまとめた世界ウエアラブル機器市場のレポートによると、今年第1四半期のメーカー別出荷台数は、米アップルが前年同期比49.5%増の1280万台と首位を維持。このあと、中国シャオミ(小米科技)が660万台(同68.2%増)と続いた。

 一方、1年前にわずか130万台だった中国ファーウェイ(華為技術)の出荷台数は、ほぼ4倍の500万台に拡大。これにより、同社はメーカー別出荷台数ランキングで3位となった。

「イヤ・ウォーン型」が急成長

 IDCによると、ウエアラブル市場は現在、2つのタイプの製品が牽引している。1つはリストバンドやスマートウオッチといった腕に装着する「リスト・ウォーン型」で、出荷台数は市場全体の63.2%を占める。

 もう1つは、ワイヤレスヘッドフォンなどの耳に装着する「イヤ・ウォーン型」で、こちらは全体の34.6%。イヤ・ウォーン型の出荷台数は1年前から135.1%増と急拡大。米アップルの「Siri」などAI(人工知能)アシスタントの利用拡大がこの分野の成長を後押ししているという。

Apple Watchが好調、シャオミは欧州・中東でシェア拡大

 IDCによると、アップルはスマートウオッチ「Apple Watch」、ワイヤレスヘッドフォン「AirPods」、Beatsブランドのヘッドフォンといった3つの製品ラインアップを持つことが強み。このうちApple Watchは出荷台数の多さも強みだが、平均販売価格が上昇しており、販売金額でも高いシェアを持つ。

 シャオミは、リストバンド型機器「Mi Band」の人気の高さが強みという。同社は中国を中心に事業展開しているが、昨今は欧州と中東市場に投資をしており、結果が表れ始めている。同社は欧州と中東の両地域でシェアを着実に伸ばしている。

ファーウェイのウエアラブル、スマホ事業の成功と密接な関係

 一方で、ファーウェイのウエアラブル市場における高い成長率は、スマートフォンの成功によるところが大きいと、IDCは分析する。第1四半期における同社のスマートフォン販売台数は、前年同期比44.5%増の5840万台。上位5社の中で最も台数が伸びた(図1)。

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 ただ、昨今の米中貿易摩擦の影響で、ファーウェイのスマートフォン事業の先行きが不透明な状況になってきた。これに伴い、ウエアラブルの事業環境も流動的になるとIDCは指摘する。

 先ごろ、米国の禁輸措置により、米グーグルが提供するモバイルOS「Android」をファーウェイが従来のような形で使用できなくなり、スマートフォン事業の世界展開が厳しい状況になると伝えられた。

 これについて、米調査会社のガートナーは、ファーウェイのスマートフォンでグーグルのアプリやサービスが利用できなくなれば、同社スマートフォン事業のほぼ5割を占める国外事業に影響が出ると指摘する。

 なお、第1四半期のウエアラブル機器全メーカーの出荷台数は、前年同期比55.2%増の4960万台。ウエアラブルに対する需要は依然高く、市場は目覚ましい成長を遂げていると、IDCは分析している。

  • (このコラムは「JBpress」2019年6月6日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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