これからの時代、人も企業も「いい値で売れるか?」という視点が大事~【中小企業の事業承継税制】
中小企業の事業承継税制
経営者の高齢化によって、事業承継問題が深刻さを増しています。事業承継の準備に未着手な企業が30%近くあるにもかかわらず、経営者はどんどん高齢化し、承継のタイミングに目途が立たないからです。
政府は12月7日、「2018年度税制改正」で、中小企業の「事業承継税制」について最終調整に入りました。相続税や雇用要件など、後継者が事業を引き継いだあとの負担を軽くすることが主な内容です。
「集団」から「組織」への変革
私は企業の現場に入って、事業目標を絶対達成させるコンサルタントです。創業オーナーの「経営センス」で大きくなった会社は、事業を承継したあとや、外部環境が変化したあとに、業績が大きく傾くことがあります。
どんな事業計画を立てても、創業オーナーの恩恵を受けないので、従業員たちの独力では達成しないのです。そこで私どもコンサルタントが、経営の仕組み、マネジメントのルール、従業員の意識を変えて立て直していきます。
事業承継したあと業績を落とす中小企業のほとんどは「組織」になっていないケースが大半です。
経営者(創業オーナー)を中心とした古参社員のセンスや、個人的な思いで独自の秩序を作っています。「組織」ではなく、個人の「集団」となっている企業は、精神的支柱であるオーナーがいなくなれば一気に瓦解します。したがって事業を正しく承継するためには、「集団」から「組織」への変革が求められるのです。
組織としての「機能」「仕組み」「ルール」ができあがっていなければ、事業を引き継ぐ側も困ることでしょう。「集団」から「組織」への変革は、オーナーの子息や従業員ではなく、創業オーナーのリーダーシップが不可欠だからです。
会社を「売る」という選択
相次ぐ大企業のスキャンダルもあり、今日もどこかの企業で大規模なリストラがおこなわれています。今の時代、「終身雇用」という考え方は企業も人も持っていません。いつ会社を出てもいいように、自分の市場価値(売り値)ぐらいは自分で高めておかなければならない時代です。
いっぽうで、企業も同じ。(中小企業に限らず)
事業承継に困った場合は、他の企業に買ってもらうことです。そのためには、自社の市場価値(売り値)を日々高めておく必要があります。
もし市場価値の低いままだと、廃業や解散に追い込まれるか、悪質なM&Aのアドバイザリー会社に、ひどい買い手を押し付けられたりするリスクが高まります。
そのために創業オーナーの意識改革が不可欠です。
大切な事業を後世に残すこと、そして何より、従業員やその家族の生活を守るためにも、はやい段階で「集団」から「組織」へと変革させ、いい会社が「買いたい」「売ってほしい」という魅力を持つことです。(いい会社に買ってもらうことが大切です)