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92歳女性を性的暴行し殺害 容疑者はNY在住の21歳不法移民だった

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
ニューヨーク市警察(NYPD)のイメージ。(写真:Splash/アフロ)

ニューヨークのクイーンズ区で、男が殺人と性的暴行の罪で1月16日、起訴された。

事件が起こったのは今月6日の真夜中。同区内陸部に位置するリッチモンドヒル地区の路上で、下半身裸で倒れている老女が発見された。女性は近所に住むマリア・フエンテスさん(92歳)。リーアズ・カーン(Reeaz Kahn)容疑者(21歳)が捜査線上に浮かび、10日の逮捕となった。

ABC7の報道(動画あり)

事件現場は、フエンテスさんの自宅からほんの1ブロック先。監視カメラの記録では、フエンテスさんが路上を歩いていたところ、カーン容疑者が背後から近づき、路上駐車している車と車の隙間の地面に押し倒し、監視カメラの視界から4~5分ほど消えた。その後容疑者は立ち上がり、逃走したという。その数時間後にフエンテスさんが通行人の女性により発見された際、意識はまだかろうじてある状態だったが、その後搬送先の病院で死亡が確認された。検視の結果、フエンテスさんの首、背中、陰部に暴行の跡が見られた。

フエンテスさんは近所の人々から、「おばあちゃん」や猫を愛する意の「キャットレディ」などと呼ばれ、「彼女が気遣ったのは犬猫のみではない」という証言も出るほど親しまれる存在だった。野良猫や犬に餌を与えるため、夜遅くに近所を出歩くこともあり、事件に巻き込まれたようだ。フエンテスさんの息子など、家族や近所の人々から悲しみや怒りの声が上がっている。

ニューヨークポスト紙の報道では、カーン容疑者は南米ガイアナからの不法移民で、リサイクル用の缶や瓶を集めては換金する、その日暮らしをしていた。逮捕はこれが初めてではなく、昨年11月26日にも、父親の胸や腕を割れたコーヒーカップで切りつけるなどした暴行罪などで逮捕されていた。

これらの罪により、容疑者はICE(米国移民・関税執行局)から拘留すべき移民として、国外退去命令を受けていたにもかかわらず、その後市警察(NYPD)の判断により自由の身となり、今回の犯行に及んだというわけだ。

サンクチュアリシティ(聖域都市)の1つであるニューヨークは、不法移民に対してはっきり言って甘い。ならば違法な行為をしている者は、自由に住まわせてもらっているその土地や人や状況に感謝すべきところを、なぜ罪のない市民(しかも老人)に危害を加えなければならないのか。理解に苦しむ。

(Text by Kasumi Abe)  無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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