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ジャッカルで話題集めた姫野和樹、大きな目標を立てるわけは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
全5試合に先発。堂々と戦った(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表として今秋のワールドカップ日本大会で8強入りした姫野和樹は、12月25日、トヨタ自動車の主将として国内最高峰トップリーグのプレスカンファレンスに出席。大きな目標を掲げる理由などを語った。

「これから次のワールドカップで優勝、トップ4を目指す。次も出られるように頑張ります」

 身長187センチ、体重108キロの25歳。サイズを活かした突破力、アイルランド代表戦などで繰り出したジャッカル(接点の相手ボールに絡むプレー)でも話題を集めた。

 準々決勝で南アフリカ代表に敗れてからは、各所で「次回は優勝を目指さないと」といった旨で発言。今回のプレスカンファレンスでも「チームの優勝」「(個人での)年間MVP」など大きな目標を打ち立てている。

 報道陣に囲まれた姫野が、その背景などを語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――今季、チームには活動停止期間がありました。現在の仕上がりは。

「まだまだですよ。11月から活動を再開したばかり。時間がない。新しいヘッドコーチのもと戦術もがらりと変わった。そこで約2か月でチームを成熟させるのは難しいところもありますけど、チャレンジしなきゃいけないところ。練習時間外でもハードワークしなきゃいけないので、そこを主将としてドライブしていければ」

――ニュージーランド代表主将のキアラン・リード選手が新加入。一緒に練習して。

「小さいところでも大事にする。すべてにおいて。(ポジションは重なるが)一緒にやっていけたら。(自身は)6、7、8ができるので。僕としては7番がやりたいとは思いますが。フランカー、チャレンジしたいですね。リードのタックルのところは、無茶苦茶盗みたい。タックルが強い選手なので、どうやってあのパワーを活かしているのか、細かいところを(参考にしたい)」

――元ニュージーランド代表ヘッドコーチで同部新ディレクターオブラグビーのスティーブ・ハンセン氏とは話したか。

「3日くらいいて、チーム全体に話をした。自分のためじゃなく、このジャージィのために何ができるのかだけを考えろ。そう言われたのを覚えています。まだ個人的には話していないですけど」

――改めて、ワールドカップの経験について。

「プレーしてみて、優勝した南アフリカ代表に対して準備したことができなかった。ただ実力不足だったんだなと感じたことが大きかったけど、(南アフリカ代表は)届かないところにいるわけじゃない。南アフリカ代表の背中が見えてきたのも肌で感じられたのは大きかったと思います」

――「届かないところにいるわけじゃない」。いつ思いましたか。

「最後、皆が泣いていた時に。勝てると思ったから悔しくて泣いたし、このチームはもっと強くなるなと思いました」

――南アフリカ代表戦では、相手に担ぎ上げられたシーンがあったが。

「(その時は)僕がキャリーするのを(相手は)知っていたというか。パススキル、タイミング…。こういうスキルをもっと高めていたら自分へのマークも薄らいだだろうし、ディフェンスを散らばせるようなスキル、パス、人を使うプレーをもっと磨かないといけないと思います」

――今後の代表活動への意欲は強い。

「まだまだ若いので。次のイングランド代表戦(7月)にも出たいです。いいチームとやれるのは経験値にもなるし、楽しみ」

――その戦いに向けて、何を高めたいか。

「全てですね。ボールキャリーも、ブレイクダウンも質を上げなきゃいけない。パススキルも…。全てにおいてもうひと段階、上げたい」

――改めて今季のトップリーグ。個人目標は。

「ベストフィフティーンとMVPは獲りたい。(そのために)タックルとか、全てのプレーにおいて上のレベルにいかなきゃいけない」

――大きな目標を掲げる意味、必要性は。

「そこ(目標)に行くためには努力をしなければいけない。そうやってスタンダードを上げないとその目標を達成できない。ベスト4という目標に対しての『ここまでやればいい』は(目標が)『優勝』となればスタンダードをもっと上げなきゃいけなくなる。大きな目標を挙げるのは大事だと思います」

 姫野の出身校である帝京大学は、2014年度の日本選手権でトップリーグのNECを撃破。当時、姫野は2年生だった。チームを率いる岩出雅之監督は、当時あったこの社会人との対戦を見据え、NEC戦の1季前から「トップリーグ勢撃破」を目標に掲げていた。

 打ち立てたミッションによって自分たちの求める基準値が高まるという感覚は、代表選手となった姫野の身にも沁みついている。2023年のワールドカップフランス大会での優勝を目指すことで、さらなる高みに到達したい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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