2023年に200m超えの巨大津波が発生していた!新事実も明らかに
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「2023年に発生した巨大津波と新事実」というテーマで解説していきます。
グリーンランドにて2023年9月、高さ200mを超える巨大津波が発生していたことがわかっています。
今回はそんな最近発生したばかりの巨大津波現象について、最新の研究を交えつつ解説します。
●地滑りによる巨大津波
津波の多くは巨大地震によるものであり、時には巨大な噴火によっても生じます。
しかし数百mを超えるような観測史上最大級の津波は、実は「地滑り」や「岩石崩落」によって生じることが知られています。
このような現象で恐らく最も有名な例として、1958年にアメリカのアラスカ州に位置するリツヤ湾で発生した、観測史上最大の津波が挙げられます。
リツヤ湾は氷河によって浸食されて形成された「フィヨルド」という地形で、リツヤ湾もその一般的な特徴の通り、奥行き約11km、幅約3kmと細長く奥行きが深い形状をしています。
1958年7月9日、現地でM7.7の地震が発生し、画像の赤い矢印の地点で大規模な崩落が発生しました。
海中に実に9000万トンもの岩石がなだれ込んだことで、湾内に巨大な津波が発生しました。
巨大な湾内全体で、水辺の領域の緑が明るく見えていますが、これは樹木が押し寄せた津波で押し倒された痕跡です。
特に黄色い矢印の地点は非常に高い所まで痕跡が残っており、ここから推定される津波の高さはなんと524mにもなります。
このような現象は近年増加傾向にあり、数年に一度という比較的高頻度で起きています。
しかし北極圏の人里離れた山岳地帯で起こる事が多く、その規模や頻度の割にあまり知られていません。
●2023年にも巨大津波が発生していた
2023年9月16日、グリーンランドの東海岸のフィヨルドで大規模な岩盤崩落が発生し、それに伴って巨大津波が発生しました。
下の図は上の灰色の四角部分をさらに拡大したものとなっています。
1958年に人類の観測史上最大の津波が発生したリツヤ湾もそうですが、フィヨルドはひとたび大規模な岩盤崩落が起こると、巨大な津波が生じやすい地形と言えます。
人が住まない遠隔地の出来事にもかかわらず、世界中で地震波が観測されました。
地震波と衛星画像の解析から、場所によっては津波の高さが200mに達していたことが判明しました。
幸いなことにこれを目撃した人はいなかったため、死傷者は出ませんでした。
ドイツ地球科学研究センターのチームはこの津波現象を研究し、2024年8月にその成果を公表しています。
チームは、今回の地震データから2つの異なる信号の存在を特定しました。
1つは津波を発生させた巨大な岩崩れによる、突発的で高エネルギーな信号です。
もう1つは超長周期(Very long‐period, VLP)信号です。
この信号は最大5000kmも離れた世界中の地震計で、1週間以上にもわたって検出され続けました。
VLP信号の存在は、巨大津波が発生した水域で、一週間以上も波が残り続けたことを示唆しています。
岩盤の崩落を原因とした他の巨大津波現象でも長周期の振動が発生することはありますが、数時間や数日でおさまることが大半で、一週間という長さのVLPは非常に稀です。
この振動の特徴を決定づける大きな要因の一つは湾の形状であり、2023年に200mの津波を発生させたグリーンランドの東海岸のフィヨルドは、1週間も波が継続するのにちょうどよい形をしていたといえます。
近年は地球温暖化の影響で、北極圏の氷の岩盤が不安定化し、これが崩れて巨大な津波を発生させる事例が急速に増加しています。
地震波を通じてこのような現象をより深く理解することで、防災に繋がる可能性が期待されています。