「サイクロン・メクヌ」アラビア半島に上陸へ 珍しい進路
アラビア海で異変が起きています。
先週末ソマリアに国家史上最強となるサイクロン・サガー(Sagar)が上陸し、50人以上の死者が出たばかりですが、今度はさらに強いメクヌ(Mekunu)が発生し、週末にはアラビア半島に上陸する予想が出ています。
メクヌの実況と進路
サイクロン・メクヌは、現地時間24日(木)昼の時点で、中心気圧が976hPa、最大風速は秒速40メートルの「Very Severe Cyclonic Storm」(サイクロンのカテゴリーの中で上から3つ目に強い)で、アラビア半島の南東の海上に位置しています。
台風の雲がかかるソコトラ島ではすでに大雨や強風が発生し、8人が行方不明になったと伝えられています。
メクヌの勢力は今後まだまだ強まる見込みです。明日(25日)には最大風速が秒速47メートルとなり「Extremely Severe Cyclonic Storm」にまで発達し、その勢力のままで25日(金)夜から26日(土)朝までの間にオマーンとイエメンの国境付近に上陸する予想となっています。
この場所にサイクロンが上陸するのは非常に珍しいことで、NOAAによると衛星観測が開始されて以来始めてのことだといいます。(それ以前には1959年1963年1966年に上陸の記録がある)
予想降水量
メクヌは勢力が強いことに加え、時速10キロ程度と動きが遅いために、降水量はかなりの量になります。降水量は250ミリ、多いところでは800ミリにも及ぶ予想も出ているのです。
サイクロンの直撃が予想されるオマーン・サララの年間降水量は130ミリですから、これは2年間から5年間分の雨量に匹敵します。
2011年にサイクロンよりも弱い熱帯低気圧(ケイラ)が同地域に上陸した際には700ミリを超える大雨が降り、少なくとも14人が亡くなっています。
増えるアラビアンサイクロン
近年アラビア海では、1,2年で1個のペースでサイクロンが発生していますが、気候変動が進むと、今世紀末までに46%も増加するおそれがあると指摘されています。加えて気温や水温が高くなることで、サイクロンの水蒸気量も増え、より大量の雨を降らせるおそれがあります。
オマーンやイエメンにように砂漠が広がる灼熱の地は、もとからからからに干からびていて、雨を地面に貯めることができません。そのため一度サイクロンが来れば、すぐに大規模な洪水や土砂災害につながってしまうのです。
*サイクロンの階級分け*
*参考文献*
「Causes, Impacts and Solutions to Global Warming」
(編集 Dincer, Ibrahim, Colpan, Can Ozgur, Kadioglu, Fethi)