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【神戸市垂水区】えっ!?「グッゲンハイムさんは旧グッゲンハイム邸に住んでなかった」じゃあどこに?

斎信夫(いつき)WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

KOBEうわさプロジェクトのこの吹き出し、いろんなところで見かけますよね。これは垂水駅前の再開発地区で見つけたものなんですが、「グッゲンハイムさん、そこには住んでなくて、北側の洋館に住んどったらしいで」というウワサが気になり、どんな洋館だろう?と、その場所まで見に行ってみました。

まずは、JR塩屋駅、山陽電車塩屋駅を下車し、「旧グッゲンハイム邸」を目指します。線路沿いを東へ200mほど歩き、突き当り右手のトンネルをくぐります。

さらに100mほど歩いたところの山側にあるのが、「旧グッゲンハイム邸」と呼ばれている洋館。

踏切を渡ると正面玄関があります。

一般の人が中に入れるのは、月に一度。毎月第三木曜日(12:00~17:00)に無料の見学会が行われています。予約も不要で自由に見学できます。

「旧グッゲンハイム邸」というと、明治〜大正期に建てられた洋館で、神戸に滞在していたドイツ系アメリカ人貿易商のジェイコブ・グッゲンハイム氏(1874~1940年)の家族が住んでいたと伝えられてきました。

ところが、2020年8月6日、日本建築学会近畿支部の調査によって、これが間違いであったことが公表されました。米国に住むジェイコブ・グッゲンハイム氏の孫が所有する写真や土地台帳から、実際の邸宅は、北側にある別の洋館と特定。

当時、ニュースにもなったのでご存知の方もいるかと思いますが、名称が「旧グッゲンハイム邸」なので、今もグッゲンハイムさんが住んでいた洋館なんだろうなーと思っている方は多いはず。

実際に住んでいた邸宅はどこだろう?と、左手に「旧グッゲンハイム邸」を見ながら横の細い道を山側へ上ってみます。

それにしても塩屋の街は坂が多い!まあ、神戸はどこでも坂が多いですが、垂水区は特に多いですね。

暑い日に歩き回るのはちょっと大変。行かれる方は十分水分を補給しながら歩いてくださいね。

実際にグッゲンハイムさんが住んでいた洋館は、「旧グッゲンハイム邸」の敷地から北に約20m。「旧竹内邸」と呼ばれている建物です。

坂を上った先を右折したところにあるこれかな?なんだか新しい建物のようだけど、表札に「竹内」とあるのでここで間違いなさそう。

2023年から修復工事が進められており、建物は新しくなっていますが、実はこの「旧竹内邸」は解体される運命にありました。

それを知った日本建築学会近畿支部が調査を進める中で、1906年にジェイコブ・グッゲンハイム氏が「旧竹内邸」の土地を取得していたことが分かり、アメリカに住む孫が保管している写真にもこの「旧竹内邸」の建物が写っていたことが判明。

同時に、ジェイコブ・グッゲンハイム氏が「旧グッゲンハイム邸」の土地を所有した記録がないことも分かりました。そして、「旧グッゲンハイム邸」は、イスタンブール出身のユダヤ人、ジェイコブ・ライオンス氏(1865~1916年)が施主として建設されたものだったのです。

つまり、正しくは「旧グッゲンハイム邸」ではなく「旧ジャコブ・ライオンス邸」というわけ。「旧グッゲンハイム邸」はこの「旧竹内邸」で、こちらにグッゲンハイム氏の家族が住んでいました。

長年間違った情報が伝えられてきた発端は、1969年発行の建築雑誌「新住宅」でのグッゲンハイム氏の知人の発言。最初に建てられた北側の洋館が旧ライオンス邸で、引き続いてグッゲンハイム邸が建てられたと記載されていました。

この件をより深くお知りになりたい方は、明石工業高等専門学校建築学科水島あかね准教授らによる論文をお読みください。(こちらのPDFで読めます

ということで、KOBEうわさプロジェクトのウワサは本当でした。周辺は住宅地ですので、これ以上の撮影は控えましたが、気になる方は「旧グッゲンハイム邸」見学会の日に併せて寄ってみてください。門扉の貼り紙には「既存建物の調査・復元」と記され、綺麗に復元、昔の洋館の雰囲気を今に伝えています。

ご注意「旧竹内邸」の中には入れません。周辺は住宅地ですので、外から静かにご覧ください。)

動画でもどうぞ!

塩屋の街の散策で疲れたら、ぜひこちらのお店へも!

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基本情報
施設名:旧グッゲンハイム邸・旧竹内邸
住所:神戸市垂水区塩屋町3丁目5-17(旧グッゲンハイム邸)
見学会:毎月第三木曜日(12:00~17:00)
アクセス:JR塩屋駅・山陽電車塩屋駅より徒歩約5分

旧グッゲンハイム邸 公式サイト

※内容は取材・撮影時のものです。※見学会の日は変更になる場合があります。公式サイトでご確認ください。※この記事に間違いがありましたら、X(旧Twitter)、InstagramのDMでお知らせください。(プロフにリンクがあります。)

WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

兵庫県西宮市生まれの神戸育ち。テクニカルライターを経て、1998年より会社を設立しWEBクリエイター、フリーライターとして活動。数々の旅行関連サイトを企画・運営。LINEトラベルjp元編集者兼ライター。沖縄と北海道が大好きで6年半沖縄市に在住。海外は特に台湾が好きで渡航回数10回以上。「週刊日本の島(デアゴスティーニ)」専属ライター&フォトグラファーとして沖縄、兵庫、瀬戸内等の33の島の記事を執筆。こちらでは地元神戸市の魅力を、時には動画を交えてお伝えしていきます。X(旧Twitter)、Instagramでも、神戸の最新情報や記事でのこぼれ話、その他の旅行ネタなども発信。

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