薫り高い黒糖の皮はふわふわの「みかも山」大納言小豆の粒餡とベストマッチな甘さ控えめどら焼き
和菓子と自然は切っても切れない深い関係というのは、皆さんよくご存知かと思います。日本人は古来より、四季の移り変わりをはじめ日々刻々と変化していく草花や風などに思いを馳せ、和歌や絵画などに落とし込んできました。
和菓子も同様に、上生菓子などの練り切りは歳時記のみならず季節を一歩、もしくは半歩先取りした意匠(デザイン)が多く、目と舌で楽しませてくれます。
さて、草花だけではなく雄大な山々といった身近な景観も忘れてはなりません。栃木県栃木市と佐野市にかかる三毳山。ぽこぽこっとした小さな山々が織り成す緑や橙色の濃淡が印象的な山は、桜や彼岸花やわんぱく広場、園内を走るSLのような外観のフラワートレインなど地元の方から観光客の方まで沢山の人で賑わう山です。
その三毳山から閃きを得た和菓子を販売なさっているのが同県宇都宮市にお店を構えるお菓子処「雅洞(がとう)」さん。今回は雅洞さんの銘菓「みかも山」をご紹介。
月光を浴びた三毳山の山肌から着想を得たというお菓子は、まだら模様の皮が印象的。一般的な皮ではなく、沖縄県産黒糖に栃木県産の小麦粉や卵をあわせた贅沢な仕様。ふかふかと食べ応え抜群ではあるものの、くどい甘さは皆無。むしろ控えめな甘味と丸い空気の部屋から抜けていく黒糖の芳香に満ちた、香り豊かな皮です。
あんこも、瑞々しく大粒の北海道産大納言の粒立ちと素朴な味わいが活きた粒餡。皮も粒餡も素材の持ち味が発揮された素朴な味わいながらも、どこか洗練された雰囲気や味わいのように感じるから不思議。お砂糖の味ではなく、食材そのものの旨味や甘味、香りを大切にしているからでしょうね。
また、粒餡には創業者が拘り抜いたという熊本県産の和栗の甘露煮がぽつりぽつりと。手作業ですので均等にはならないのは承知ですが、片方には栗が一粒だけでしたのでついつい探してしまいました…が、小豆を満喫できたのでこれはこれで良しといえるかもしれません。
しっかりと腰を据えたような、落ち着いた食べ口のみかも山。ボリューム満点ですが、軽食としてもぺろりと平らげてしまいそうです。小麦粉が美味しいというのもあるかもしれません。
お日保ちがしないので、購入したらぜひおやつやお夜食にいかがでしょうか。
<雅洞>
公式サイト(外部リンク)
栃木県宇都宮市高砂町5-9
028-653-5350
8時30分~18時
定休日 水曜