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もう何時間も行列に並ばなくていい! 飲食店で「ファストパス」は広まる? #専門家のまとめ

東龍グルメジャーナリスト
(提供:アフロ)

ファストパスとは、何かしらのサービスを優先して利用できるシステムのことです。日本で広く知られるようになったのは、東京ディズニーランドがアトラクションの優先入場として採用されてからでしょう。ちなみに、現在東京ディズニーランドはファストパスを廃止してプライオリティパスを導入しています。

人気の飲食店は、ファインダイニングであれば予約困難、カジュアルな店であれば行列といった形で表れます。前者については予約困難店を専門とするサービスを利用すればまだ予約しやすいですが、後者についてはとにかく並ぶしか手段がありませんでした。しかし、飲食店のファストパスが登場したことによって、カジュアルな業態の人気飲食店の利用方法が新しい局面を迎えています。

ココがポイント

▼2024年2月9日に「TableCheck FastPass(テーブルチェック ファストパス)」が正式リリース

・飲食店版「有料ファストパス」が本格始動 人気店に並ばず利用、無断キャンセル抑止にも(産経ニュース)

▼待ち時間の軽減、効率的なオペレーション、顧客データの収集と分析、競争力の強化といったメリットがある一方、デメリットも

・飲食店向けファストパスで待ち時間ゼロ!おすすめサービスを紹介(株式会社EPG)

▼限られた時間を有効活用できるだけでなく、行列に並ぶストレスをなくすことができる

・行列飲食店に「ファストパス」。導入後の変化と、テーブルチェックが目指す、飲食業界の構造変革(Digital Shift Times)

エキスパートの補足・見解

大手飲食店予約サービスのTableCheck(テーブルチェック)が2024年2月に飲食店版ファストパス「TableCheck FastPass(テーブルチェック ファストパス)」を正式にリリースしました。当初は都内で行列ができるラーメン店6軒が対象でしたが、現在は20軒以上で利用できるようになっています。その多くはラーメンですが、他にもカレーやうどん、パンケーキ、寿司・刺身といった業態も加わっており、バリエーションが豊かになりました。

飲食店は手数料という新たな収入源を確保でき、効率的なオペレーションを行え、顧客データの収集と分析ができます。客は入店して食べることができて、並ぶというストレスから解放。ファストパス提供会社にとっては飲食店と利用者のどちらにも喜んでもらえる上に手数料をレベニューシェアで得ることができます。三方よしのサービスとなっていることから、さらなる伸長が期待されているのです。

ただ、飲食店にとってデメリットも存在します。ファストパスを管理するという新しいオペレーションが発生したり、席だけでお金を取るのかといったネガティブな反応を受けたりするのです。

ファストパス自体は特許のようなものではないので、これからたくさんの類似サービスが登場することが考えられます。加えて、ファストパスが必要な行列ができる飲食店は、ある程度限られてくるでしょう。したがって、現在の飲食店予約サービスと同じ以上に、厳しい競争が予想されます。

飲食店のファストパスはまだ始まったばかりですが、どのように発展、進化していくのか、今後の動向から目が離せません。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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