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佐藤琢磨のインディカー凱旋ランをはじめ、ホンダレーシングサンクスデーは見所が満載!

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
インディ500で優勝した佐藤琢磨が優勝マシンでデモ走行する(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

2017年12月3日(日)、栃木県・ツインリンクもてぎではホンダのモータースポーツイベント「Honda Racing THANKS DAY」が開催される。今年も2輪の最高峰MotoGPで4度目のワールドチャンピオンに輝いたマルク・マルケスをはじめ、4輪のF1からはジェンソン・バトン、ストフェル・バンドーンが来場する豪華なラインナップであるが、今年から同イベントはなんと入場無料になった。今年のイベントの見所をご紹介しよう。

2017年は2輪で好成績を残したホンダ

2輪、4輪のありとあらゆるモータースポーツカテゴリーに参戦する「ホンダ」だが、近年は2輪レースでの活躍が目立つ。昨年はロードレース、モトクロス、トライアルの世界選手権で全て王座を勝ち取る三冠を達成。今季はモトクロスのタイトルは逃したものの、ロードレースではマルク・マルケス、トライアルではトニー・ボウが昨年に続くタイトルを獲得した。

「Honda Racing THANKS DAY」には王者のマルク・マルケス、ダニ・ペドロサのRepsol Hondaの2人に加え、来季からMotoGPクラスにステップアップを果たす中上貴晶が参加。モトクロスからはファクトリーライダーのティム・ガイザー、トライアルからは日本人選手の藤波貴久が来場する。

マルク・マルケス
マルク・マルケス

そして、今季最も多くのタイトルをホンダにもたらしたのは、国内の2輪レース活動であることを忘れてはいけない。今年はロードレースでは最高峰JSB1000クラスで高橋巧が初めて王者に輝き、新型CBR1000RR SP2でホンダがタイトルを6年ぶりに奪還。また、J-GP2(600cc)では水野涼がJ-GP3(250cc)では伊達悠太が王座に輝くなど3つのタイトルを勝ち取った。さらに、モトクロスではIA1クラスで山本鯨が、トライアルのIASクラスでは小川友幸がチャンピオンに輝き、国内はロードレース、モトクロス、トライアルの最高峰クラスで三冠を達成する大活躍の1年だった。

高橋巧
高橋巧

チャンピオンライダーをはじめ、国内外のトップライダーたちは自身のマシンでエキシビション走行を行うほか、世界生産累計1億台を突破した「スーパーカブ」でカテゴリーを超えた特別レースに出走する。ホンダを代表するライダー達がホンダの原点ともいえる名機でどんなレースを展開し、ファンを楽しませてくれるか楽しみだ。

4輪も国内外のトップドライバーらがデモ走行

国内の4輪レースでホンダはタイトルを逃したものの、スーパーフォーミュラではF1昇格を決めたピエール・ガスリーが2勝、SUPER GTではARTA NSX-GTとEPSON Modulo NSX-GTがそれぞれ優勝を飾るなど、ホンダファンを沸かせた1年となった。国内のトップドライバー達は「SUPER GT&SUPER FORMULA FINAL BATTLE」などのデモレースイベントに出演予定だ。

スーパーフォーミュラではツインリンクもてぎで優勝したガスリー【写真:MOBILITYLAND】
スーパーフォーミュラではツインリンクもてぎで優勝したガスリー【写真:MOBILITYLAND】

世界選手権のドライバーとしてはF1からストフェル・バンドーン、ジェンソン・バトンが、WTCCからはノルベルト・ミケリス、ティアゴ・モンテイロ、道上龍らが出演。バンドーンとバトンは第2期F1活動時代の「マクラーレン・ホンダ」をドライブする。残念ながら現役のF1活動である「マクラーレン・ホンダ」は3年の活動にピリオドを打つことになるため、彼らがこういった栄光のマシンをドライブするチャンスも見納めかもしれない。また、バトンは来季のSUPER GT参戦を熱望するコメントをあらゆる所で発しているが、GT500マシン「NSX-GT」をドライブすることになっており、その発言に注目が集まる。

佐藤琢磨の凱旋ラン!オーバルでインディカーが走る

今年の「Honda Racing THANKS DAY」の目玉は何といっても日本人で初めて世界三大レースの一つ「インディ500」で優勝した佐藤琢磨の凱旋ランだ。ホンダはすでに同社のコレクションとして佐藤琢磨の優勝マシンである「DW12・ホンダ」を購入。東京モーターショーなどで展示を行ってきたが、今回のイベントではなんとインディ500優勝マシンが久しぶりにオーバルコースのスーパースピードウェイ(SSW)を走行する。

東京モーターショーのホンダブースに展示された佐藤琢磨の優勝マシン、DW12・ホンダ
東京モーターショーのホンダブースに展示された佐藤琢磨の優勝マシン、DW12・ホンダ

ツインリンクもてぎのSSWをインディカーが走行するのは2010年以来、7年ぶりのこととなる。同コースは2011年の東日本大震災で被災し、第4ターン付近に段差が生じてしまった。完全な修復には莫大な費用がかかるため、その年のインディカーはロードコースで開催されることになり、以降このSSWでレースが開催されることはなかった。現在はエコカー競技のコースとして使われるのみで、ビッグイベント開催時には観客の駐車場として利用されている。

今回のインディカー走行に合わせ、ツインリンクもてぎは段差を埋める工事を実施したという。第4ターン付近では充分に減速しての走行となることには変わりはないが、7年ぶりのインディカーの走行は多くのファンを魅了することになるだろう。そして、日本人として初となる佐藤琢磨のアメリカでの快挙を実感することになるだろう。

Honda Racing THANKS DAYは12月3日(日)にツインリンクもてぎで開催。日照時間が短い中でありとあらゆるコンテンツが目白押しとなっているだけに朝一番からの来場がベターだ。

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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