「新型iPhone SEはアジアで売れる」アナリスト予測 ロングセラー端末、5G対応でシェア拡大へ
米アップルが3月18日に発売した廉価版スマートフォン「iPhone SE」の新モデル(第3世代)は、アナリストから高評価を得ていると、ロイター通信などが報じている。
2年ぶりの刷新、5G対応、主力機と同じ半導体
比較的低価格の新モデルは、韓国サムスン電子から中国vivo(ビボ)まで、ライバルがひしめくアジア市場でiPhoneの魅力を高めるはずだと、アナリストはみている。
SEの刷新は約2年ぶりだ。心臓部を担う「SoC(システム・オン・チップ)」は、2021年秋に発売した「13」シリーズと同じ半導体を採用し、新たに高速通信規格「5G」に対応させた。
米投資会社コーエン・アンド・カンパニーのアナリストは「新型iPhone SEは、特にアジアの価格に敏感な消費者の間でシェアを伸ばすのに効果的だろう」とし、期待できる市場として中国とインドを挙げた。
SE最新モデルの価格は429ドル(日本は税込み5万7800円)から。この最低価格は、4G対応だった前モデルの399ドルより30ドル高い。だがコーエンのアナリスト、クリシュ・サンカー氏は、「新モデルは性能が大幅に向上しており、十分に価格競争力がある製品だ」と指摘している。
そもそもiPhone SEは息の長い製品
前モデルの第2世代SEは20年4月に発売された。アップルは毎年秋に主力モデルの新製品を発売し、数年に1度SEを市場投入する。SEは主力モデルと異なり、発売後2年近くが過ぎても人気や勢いが持続する息の長い製品だ。
香港の調査会社カウンターポイント・リサーチによると、第2世代SEは20年4月の発売以降、21年末までにiPhone全体の12%を売り上げた。販売台数は米国が最も多く、日本が次いだ。
米CNBCによると、カウンターポイントは今回の5G対応第3世代モデルについて、米国、日本以外にも、欧州や東南アジア、韓国などで需要が増大するとみている。これらの地域ではSEが5G未対応だったため、多くの消費者が購入を控えていたという。
「米グーグルの基本ソフト(OS)『アンドロイド』を採用する低価格スマホからの乗り換えを検討しているユーザーや、iPhone 8以前のモデルからの買い替えを考えているユーザーのいずれにも訴求できるモデルだ」とカウンターポイントのアナリスト、ジェフ・フィールドハック氏は述べている。
また、コーエンのアナリストは新モデルが22年に2800万台売れるとみている。中国の小米(シャオミ)やOPPO(オッポ)、vivoなどが台頭し、競争が激しい中国やインド市場で好調に売れると予測する。一方、米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏は販売台数が3000万台になると予想している。
iPhone、中国市場で6年ぶり首位
カウンターポイントによると、iPhoneは昨年、世界最大のスマホ市場である中国で6年ぶりに首位に浮上した。21年10〜12月期におけるiPhoneの販売台数シェアは23%で過去最高。販売台数は前年同期比32%増の約5000万台。
2位以降はいずれも中国ブランドで、vivo、OPPO、HONOR(オナー)、小米、華為技術(ファーウェイ)、realme(リアルミー)の順だった。
- (このコラム記事は「JBpress Digital Innovation Review」2022年3月11日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)