井上尚弥戦に結び付けるために…WBA5位を2回で沈めた27歳
第2ラウンド31秒、サンアントニオ生まれの27歳、ラモン・カルデナスの狙い澄ました左フックが、ラファエル・ペドロサの顎を捉える。次の刹那、15戦全勝11KOでWBAスーパーバンタム級5位にランクされる26歳のパナマ人は、腰からキャンバスに崩れ落ちた。
故郷の大声援を背に、勢い付くカルデナスは、右フック、右ストレートで無敗の世界ランカーにダメージを与え、同ラウンド1分18秒に、再度左フックをクリーンヒット。ペドロサを沈めた。
レフェリーのラファエル・ラモスは、間髪を入れずに試合終了を宣言。公式KOタイムは、1分22秒であった。
郷里での試合ながら、22勝(11KO)1敗のラモン・カルデナスは劣勢を予想された。負け知らずのラファエル・ペドロサに、米メディアは底知れぬ何かを感じていたようだ。同ファイトをオンエアーしたSHOWTIMEも、どちらかと言えば世界5位を売り出そうとしているかに見えた。
ペドロサはプロデビューしてから、初めて祖国を離れて戦い、期待を一身に背負って米国に登場した。
しかし、蓋を開けてみれば、カルデナスの圧勝だった。<番狂わせ>と表現する米国人記者もいるが、両者には比較にならないほどの実力差があった。
勝者は振り返った。
「最初のノックダウンは、私が右でペドロサのボディを狙った際、彼がガードを下げたのでそこを突きました。彼のディフェンスには穴がありましたね。また同じような局面が訪れることが予想出来たので、もう一度狙ったんです。
ペドロサは無敗のファイターでしたし、私にとって最大の勝利ですよ。ここから、更に上を目指します。SHOWTIMEが再び試合を組んでくれると信じます。私は世界タイトルが欲しいです」
カルデナスは言葉を続けた。
「私は1年以上、あらゆる団体で世界ランキングに入っていました。が、チャンスに恵まれませんでした。でも今や、WBAでもWBCでも何でも奪い取るつもりです。私の計画は自分が誰であるかを世界に示し、かつ、ボクシング界の注目を集めることです。今夜は、それを果たせたと思いますね」
世界5位を2ラウンドで屠ったカルデナスが、ランキング入りすることは間違いない。そして、彼のいるスーパーバンタム級のWBC/WBO王者は、御存知のように井上尚弥だ。井上は、122パウンドでも4団体を統一するだろう。つまり、カルデナスの標的は”ジャパニーズ・モンスター”となる筈である。
ヒューストン在住の27歳は、井上尚弥戦に漕ぎ着けられるか。同カードをSHOWTIMEが放送するとなれば、井上の名は更に著名となる。カルデナスの発言は、日本のボクシングファンにとっても、夢を感じさせるものだった。