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政治を知るプログラム…政治・政策リテラシー講座16

鈴木崇弘政策研究者、PHP総研特任フェロー

政治は一般的には、多くの私たちにとって遠い存在だと感じがちです。

しかしながら、政治を知ったり、感じたりする機会は、実はさまざまな形やプログラムとして提供されているのです。

もちろんそのような機会で一番に挙げられるべきは、「選挙」です。選挙中は、ポスターが貼られたり、候補者らが支持を訴えながら街を巡ったり、あるいは立会演説や街頭演説があり、政治を比較的身近に感じらのではないでしょうか。

しかし、有権者などは別として、若い世代、特に選挙権のない世代にとっては、選挙があっても、政治が自分の問題だとなかなか感じられないかもしれません。

そこで、本記事では、どちらかというとそれらの若い世代にとって、政治を知ったり、感じたりできるいくつかのプログラムについて、説明していきましょう。

まずは、国会見学プログラムです。これは、国会の衆議院あるいは参議院の中を見学して、日本における立法活動が行われる場所を見学できるものです。以前は、議員紹介がないと見学できませんでしたが、現在は個人や団体が直接申し込めます。衆参で申し込みが別になっていますが、次のところから詳しい情報が得られます。

衆議院(参観手続き):

参議院(見学):

さらに、参議院には、参議院特別体験プログラムというものもあります。これは、子供たち(注1)が、国会の中に設置された委員会・本会議のセットの中で、法案審議をロールプレイ形式で模擬体験するもので、国会での審議をリアルに味わい、国会についての理解を深める参加型のプログラムです。プログラムが終わると、自分の名前が入った委員会などの審議を伝える公報がもらえて、とても記念になります。これは、非常に評判がよく、人気が高いプログラムとなっています。

国会でどのような審議や議論が行われているかを知るには、テレビの国会中継以外にも、衆議院および参議院のHP、特に衆議院TVインターネット審議中継あるいは参議院インターネット審議中継がお奨めです。そこでは、過去の審議も観ることもできます。

また、国会議員や地方議員のインターンをして、議員活動や議会・国会活動がどうのように行われているかを実際に体験するプログラムもあります。

たとえば、NPO法人「[.jp http://www.dot-jp.or.jp/ ドットジェイピー]」が学生を対象にした議員インターンシッププログラムを提供しています。この団体は、1998年に設立され、すでにのべ13,931名(2012年10月1日現在)の学生が、議員インターンを経験しています。またNPO法人「I-CAS(アイカス)」は地方議会議員のインターンシップを提供しています。

さらに自民党や民主党なども、学生などにインターンシップの機会を提供しています(注2)。

これら以外にもさまざまな形で議員インターンシップなどが行われているようです。若者が、このようにインターン経験をすることで、政治に対してポジティブな意見をもつようになったり、政治の重要性に気づいたりするそうです。さらに自身が議員になるようなケースも生まれているそうです。

最近は、いくつかの新しい試みも生まれてきています。

20代の投票率の向上を目指す「ivote(アイ・ヴォート)」やNPO法人「YouthCreate (ユースクリエート)」は、若者と議員とが直接に話す機会などを提供しています。

また高校生や大学生が企画し運営している「僕らの一歩が日本を変える~高校生100人×国会議員~」という活動もあります。これは、100人の政治に関心のない全国の普通の高校生が、国会議員などと一堂に会して、直接に議論するイベントを開催するものです。この活動を通じて、10代の高校生に政治を直に感じる機会を提供しています。

本記事は決して網羅的ではありませんので、これ以外にも、政治を知り、感じるさまざまなプログラム(注3)があります。皆さんも折に触れて、ぜひ探してみてください。若いうちからこれらのプログラムや活動に参加してみると、政治がきっとより身近で、より面白いものに見えてくるのではないでしょうか。

皆さんもぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

(注1)筆者の経験からすると、大学生などでも結構楽しめるようになっていますので、大人にとってもいい経験になるのではないかと思います。

(注2)たとえば、自民党は現在、「地方の大学生・院生・専門学校生対象 平成26年 国会議員事務所(秘書)春季インターンシップ」を募集しています。

(注3)有権者になっていない若い世代(つまり未来の有権者)が参加する模擬投票なども、政治を感じたり、知ったりするプログラムの一つです。模擬選挙推進ネットワークなど参照のこと。

政策研究者、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。経済安全保障経営センター研究主幹等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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