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内山高志が2016年にアメリカ進出?その相手候補ニコラス・ウォータースがまさかのドローで連勝ストップ

杉浦大介スポーツライター

Photo By Alex Menendez- HoganPhotos/Golden Boy Promotions

12月19日 ニューヨーク州ベローナ 

ターニングストーン・カジノ

スーパーフェザー級10回戦

ニコラス・ウォータース(ジャマイカ/26勝(21KO)無敗1分)

引き分け(95-95, 95-95, 94-96)

ジェイソン・ソーサ(アメリカ/18勝(14KO)1敗4分)

不可解な判定

元WBA世界フェザー級王者ウォータースのスーパーフェザー級転向第1戦は、予想外のドローに終わった。

ボディブローを中心により的確にパンチを決めたウォータースが、序盤からペースを掌握する。第5ラウンドには右カウンターを決め、タフなソーサをぐらつかせる見せ場も作った。後半に入っても相手に主導権を渡さず、明白な判定勝ちを収めたかと思われた。

しかし、ジャッジの判定は1人がなんとソーサの2ポイント優勢にした上で、ウォータースに0-1のドロー。試合を放送したHBOのジャッジは99-91、ESPN.comの記者に至っては100-90でウォータース勝利としていたような内容だっただけに、裁定が発表された直後にはアリーナ全体から驚きの声が挙がった。

「ショックだよ。危険な場面はなかったし、効かされたこともない。(ソーサは)良いファイターで、望んでいた種類の試合だったけど、僕が全ラウンドを制したと思った。こんなことになって驚いているよ」

試合後、ウォータースもしばらく呆然とした表情だった。

内山対ウォータース実現?

この一戦の直前の17日、USA Today紙が電撃ニュースを伝えていた。

「ウォータース対ソーサ戦の勝者は来春にアメリカで内山高志と対戦する。トップランク者のボブ・アラムと内山側との交渉は成立しており、WBA 世界スーパーフェザー級王者が大晦日に予定する次の防衛戦に勝てば、長く待望されてきたアメリカデヴューが実現する」

そんな内容のニュースには、アラムのコメントも記されていただけに信憑性を伴って見えた。特に無敗のパンチャー同士であるウォータースと内山が対戦すれば注目のマッチアップになる。それだけに、この報道は米国内でも少なからず話題になったのである。

もっとも、この件をウォータース本人に訊くと、「(内山戦について)具体的なことは何も聴いていない」との答えだった。目前の試合により大きな意味を持たすべく、プロモーターが大言壮語するのは珍しいことではない。ソーサ戦のプロモーションのため、アメリカでも一部のファンの間で評価の高い”Uchiyama”の名前をアラムが利用した可能性は否定できまい。

ただ・・・・・・関係者の話を聞く限り、HBOが内山の起用に興味を持っているのは紛れもない事実のようである。そして、その相手が本当にウォータースになったとしても驚くべきではない。

ソーサ戦の結果はドローでも、ウォータースの評価、商品価値を大きく下げるものではなかった。このジャマイカ産のパンチャーは今後にどんな路線を歩み、誰との対戦を望むか。内山だけではなく、将来的に三浦隆司と絡んでも不思議はないだけに、パワー、スター性を兼ね備えたウォータースにはこれまで以上に注目が集まる。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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