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10連覇目指す帝京大学のキャプテンは秋山大地。敗戦から「生活」を見直し。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
卒業後は国内トップリーグでのプレーもにらむ。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 勝負がついてもスイッチを切らない。

 5月20日、東京・帝京大学百草グラウンド。今年の関東大学春季大会の東海大学戦は69―7のスコアで終盤戦を迎えた帝京大学にあって、背番号5の秋山大地はタックルまたタックル。相手を倒した後にすぐに起き上がり、防御網を埋める。

 ワンサイドゲームにあっては遂行度に個人差が現れるこのおこないを、秋山は「プレーで見せることは絶対にぶらしてはいけない。そこは厳しくやっていこうと思っています」。ペットボトルを捨てる際に必ずラベルを剥がすような几帳面さと丁寧さが、そこにはあった。

 大学選手権10連覇を目指すチームは4月30日、明治大学との春季大会初戦を14―17で落としている。2015年11月以来の公式戦黒星に、船頭役は何を感じたか。

 東海大学戦後、心境を明かした。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――明治大学戦後、日々の生活、練習を見直したと伺っています。具体的に、どんなことをしたのですか。

「大きく変えたというわけではありません。掃除、点呼。こういう細かい当たり前のことを当たり前に積み重ねることが、ラグビーをする以前に必要なこと。そこを、見直そう、ということです」

――敗戦というグラウンド上の出来事を受け、グラウンド外での態度を見直すことにした。

「シンプルに、僕は、ラグビーと生活がすごくつながっているものだと思っているので。生活をきちんとできないチームが優勝を目指すのは合っていない(妥当でない)。尊敬されるチームになったうえで、グラウンドでは厳しさを出し、優勝に向けて積み重ねをしていけることを目指しています」

 徳島・阿波市出身。貞光工業高校(現つるぎ高校)入学後にラグビーを始め、1年時から全国高校ラグビー大会に出場。3年時は高校日本代表のキャプテンも務めている。

 帝京大学でもルーキーイヤーから公式戦に出場し、主戦級に定着した前年は持ち前の突進力と運動量で選手権9連覇を達成。部内で信頼を集め、今季はキャプテンとして10連覇を目指すこととなった。

 5月6日、心を揺らす出来事があった。

 この日の秋山は、ニュージーランド学生代表との試合に関東学生代表のキャプテンとして出場する。

 もっとも当日は、ロックとしてコンビを組んだ慶應義塾大学の辻雄康が鋭いランを連発。試合後の記者会見では、チームを率いた帝京大学の岩出雅之監督が「印象に残った選手は」と聞かれ「辻君がよかったですね」と即答した。

 指揮官が素直に感じたことを発した格好だが、結果的に秋山への発奮材料となり得たのではないか。

 

 このあたりの状況について、当の本人も誠実に応じた。

――あの時、いかがでしたか。

「同じロックとして悔しい気持ちはあります。自分自身が、そういうプレーをできていないという。それを見つめ直してやっていこうと思います」

――個人的な目標はありますか。

「日本代表を目指しています。(2019年のワールドカップ日本大会出場へは)スコッドにも入っていないので現状では厳しいかもしれません。ただ、そこだけにこだわるのではなく、先を見て…」

――2019年へのチャレンジもする一方、真に目指すのは長らく日本代表に選ばれ続ける選手なのですね。

「そうですね」

 身長192センチ、体重111キロの巨躯が必死に駆け回るロックは、あまねく楕円球ファンの共感を呼ぶだろう。規律遵守の結果としての10連覇、達成なるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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