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46歳。一番つらいのは、子どもがいない人生を受け入れることです~40歳からの婚活入門(22)~

大宮冬洋フリーライター
細身の奥田さん。良く笑う明るい女性です(筆者撮影)

 アラフォーの独身女性は生きづらいと思う。出産のリミットを感じながらの婚活は苦しいし、既婚者とはそのつらさや孤独感を共有できない。話が合う友人知人がだんだん少なくなる。シングルマザーの場合はより深刻だ。幼い子どもがいると仕事・恋愛・趣味のいずれにも時間を取れず、母子で孤立しやすい。

 筆者は昨年末に電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』を自費出版した。既婚未婚それぞれの40歳男女に偏りなくインタビューして撮影をさせてもらう予定だったが、独身女性からは取材を断られることが多かった。「今の自分を書いてほしくないし、人からも見られたくない」といった理由がほとんどである。

 だからこそ、彼女たちの話を聞きたい。匿名でいいから、その状況と胸の内を教えてほしい。同じ40代として腹を割って語り合う気持ちで本シリーズを続けている。

***会社員、奥田留美さん(仮名、46歳)の話*

68歳の元恋人。介護要員でもいいからずっと付き添いたい

 外資系企業で派遣社員として働いています。東京郊外の分譲マンションで母と2人暮らしです。私が20代半ばのときに両親が離婚し、大手メーカーに正社員として勤めていた31歳のときにローンを組んでマンションを私が買いました。

 私のことを理解してくれる父とは違って、母とはまったく気が合いません。でも、稼げない母をアパート暮らしさせるわけにはいかないので、仕方なく2人で住んでいます。ローンは完済しました。

 そのメーカー勤務時代に好きな人ができました。22歳年上の上司Aさんです。奥さんと3人の娘さんがいて、私のことを本当に大事にしてくれました。要領が悪くてうだつのあがらない万年課長だったので、ちゃきちゃきしている私がフォローばかりしていたんですけどね。付き合っていたと言っても食事に行って手をつなぐ程度で、男女関係になったのは私が30歳になる直前に2人で出かけた旅行のときぐらいです。

 旅行を最後に別れて、他の男性とも付き合ったりしました。でも、私の人生で心底愛したのはAさんだけです。いまでは68歳のおじいちゃんですが、たまに電話で話して声を聞くだけで幸せな気持ちになります。

 Aさんはとても優しくて家族を大事にしているので、邪魔するつもりはまったくありません。彼にはずっと穏やかに幸せに暮らしてほしいです。将来、茶飲み友達でも介護要員でもいいから傍にいてあげられたらいいな……。

 私はファザコンなんだと思います。父は背が高くて高学歴で女性の扱いも上手な人です。それが男性のスタンダードになってしまっているので、婚活をしてもピンと来ません。外見はどうでもいいし、甲斐性があれば浮気をしてもいいのですが、大卒以上の学歴で女性に優しい人であることは譲れないのです。

「10年以上前に自分で買った指輪を久しぶりにつけました」(筆者撮影)
「10年以上前に自分で買った指輪を久しぶりにつけました」(筆者撮影)

向き合おうとすると消えてしまう同級生に振り回された3年間

 3年前に参加した高校の同窓会で久しぶりに出会いがありました。私が通っていたのは地域では一番の進学校だったので、特に男性はハイスペックな経歴の人ばかり。参加した男性の95%は既婚者でした。

 女性は私を含めて独身が多いのですが、勉強ばかりしてきて身なりには無頓着な人も少なくありません。私はチヤホヤされましたよ。すぐにでも結婚して子どもが欲しかったので、「私は独身男性を探しているのよ!」とアピールしました。

 そこで知り合ったのが、高校時代は話したこともないBくんです。いい大学を出て、大企業でエンジニアをしています。それがまず好印象で、頻繁に来るメールの文章も知的でセンスがいいところが好きになりました。遠距離恋愛だったのですが、その年のうちに私が訪ねて行ってお付き合いすることになったんです。

 Bくんには別れた奥さんとの間に子どもが2人いて、養育費も払っています。仕事のストレスが原因の病気も抱えています。それでも私が好きになったのですが、彼のほうは私と再婚することに不安を感じてしまったらしくて、「やっぱり自信がない」と別れることに。 

 その後、彼のほうから連絡が来て、よりが戻りそうにもなったのですが、私が連絡を取ろうとすると何カ月も不通だったりするんです。たまに酔っぱらった状態で電話をして来て、もう恋人でもないのに「誰かとキスしたんだろ」みたいな質問をしたり。彼の自分勝手さや支配欲にうんざりします。

 去年の秋、Bくんから末期がんであることを打ち明けられました。電話口で私に当り散らすんです。それでも一度は好きになった人だから、電話で愚痴ぐらいは聞いてあげています。もちろん、他に好きな人がいないからできることですけどね。もし彼が私とちゃんと向き合う気があるならば、仕事を辞めてマンションは母に預けて、彼の家に住んで看護してあげてもいいのですが……。

 昔から「お嫁さん」と「お母さん」以外になりたいものはありません。頭はいいけれどだらしない夫が丸めて放った靴下を拾って歩くような奥さんになりたい。一番つらいのは子どもがいない人生を受け入れること。連れ子でもいいし、特別養子縁組でもいいので、自分の子どもがほしいんです。この夢はまだあきらめていません。

***筆者より奥田さんへ*

50代以上の男性が登録している「シニア婚活」はいかがですか

 現代には奥田さんのような苦しい内面を抱える女性は少なくないと感じています。「女性活躍」が盛んに叫ばれる風潮ですが、仕事だけでは人は幸せになれません。リラックスして笑い合い支え合えるようなパートナーを求めるのは人間として普通のことではないでしょうか。

 一方で、奥田さんならではの偏愛も感じました。「有力大学を出ていること」と「女性の扱いが慣れていること」に大きな価値を置いているのです。お父さんの影響もあるので今さら矯正することは難しそうですね。そして、「子ども」という無条件の愛情を注げる対象も奥田さんは強く求めています。

 無料の結婚情報サービスを利用したことがあるそうですが、今度は有料のサービスに登録してみたらどうでしょうか。それだけ本気度も高く、スペックも高い男性が集まっているからです。婚活という場ならば、子ども好きか否かも早い段階で確認できます。

 おすすめは、50代以上の男性会員が多いサービス。いわゆるシニア婚活です。男性は、自分より10歳ぐらい若い女性はたいてい可愛く見えるので、本当の意味で奥田さんを大事にしてくれる頼りがいのある独身男性に出会えるかもしれません。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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