熱中症予防に効果的な3つの栄養素と3つの料理とは?
熱中症にならないための基礎知識
7月に入り真夏日や猛暑日が続く日本列島。関東地方までは梅雨が明けて、いよいよ本格的な夏がやってきた。私たちが夏に気をつけなければならないのが「熱中症」である。熱中症とは、主に暑熱環境下において身体が適応出来ない時に起こる症状のこと。体内での熱の産出と熱の放散のバランスが崩れて、体温調節がうまくいかずに体温が著しく上昇した状態になっている。
人間の身体には常に体温を一定に保とうとする「体温調節中枢」がある。通常、私たちの体温は体内酵素が活性化する温度である37℃前後に保たれているが、何らかの病的な原因によってその設定温度は上下する。その場合、体温を上げる時は血流を減少させて体内の熱を蓄えたり、骨格筋の収縮によって熱を生産し、体温を下げる時には血流を促したり汗をかくことで体内の熱を放出したり、骨格筋の弛緩によって熱の生産を抑えたりする。
真夏に大量の汗をかくと身体の水分はもちろん、塩分やカリウムなどのミネラル類なども失われてしまう。そしてこれらの栄養素が不足すると、汗が出なくなって熱中症を発症しやすい状態になりかねない。そのため、事前に水分や塩分、ミネラルなどを摂取しておくことが熱中症の対策として非常に有効なのだ。
カリウム、マグネシウム、ビタミンB1がカギ
熱中症予防の大前提は、まずしっかりと水分を摂り、適切な塩分を摂ることである。喉が渇いてから水を飲むのではタイミング的には遅く、常に水分を補給することを意識しておくことが肝要だ。基本的には水で十分だが、汗をかいた時などはミネラル入りの麦茶などを適宜摂取するのも効果的だろう。また長時間の炎天下での作業やスポーツなどの時には、水の他に経口補水液やいわゆるスポーツ飲料なども取り入れた方が、失われた塩分の補給が可能になる。
その上で、発汗時などに失われたビタミンやミネラルを摂取することになるが、その時特に意識すべき栄養素は「カリウム」「マグネシウム」「ビタミンB1」である。カリウムは体内の水分保持に必要な栄養素なので、カリウムが不足すると脱水症状を引き起こす可能性がある。マグネシウムは血圧や体温の調節に必要な栄養素で、ナトリウムとカリウムの細胞内外バランスも整える働きがある。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えたり、疲労回復に効果がある。これらの栄養素は汗をかくと不足しがちなので、特に意識して摂取するように心がけなければならない。
美味しく熱中症を予防しよう
もちろん必要な栄養素はサプリメントなどでも摂取可能だが、せっかくならば食べ物で美味しく摂取したいもの。カリウムを多く含む食材としては、インゲンや空豆などの豆類、ジャガイモや里芋などのイモ類、アーモンドや落花生などの種実類が挙げられる。マグネシウムを豊富に含む食材は大豆や豆腐などの豆類、種実類のほかに海藻類がある。ビタミンB1は豚肉や鰻、タラコなどの魚卵類に多く含まれている。
熱中症対策にピッタリの料理としてまず考えられるのは、やはり「鰻重」だろう。土用の丑の日に鰻重を食べるという習慣は、一説には江戸時代に広まったと言われている。鰻はビタミンB1やたんぱく質を豊富に含んでいるほか、亜鉛やカルシウム、DHA、さらに必須アミノ酸などもバランス良く含まれているスーパー食材だ。
次にオススメしたいのが「冷しゃぶサラダ」。ビタミンB1はもちろんカリウムも豊富に含む豚肉は冷しゃぶに。同じくビタミンミネラルを多く含むベーコンなども散らして。野菜にはカリウムを多く含むホウレンソウを多めに使いたい。ナッツや豆類も使いやすいのがサラダの良いところ。
そして、熱中症対策料理の極め付きはズバリ「ポークカレー」だろう。熱中症対策のエキスパート食材である豚肉や、カリウムの他にもビタミンB群やビタミンCも摂れるジャガイモなどを入れることが出来る。またカレーに使われるスパイスには発汗作用や食欲増進も期待出来る。そこに豆類やナッツ類もプラス出来れば完璧だ。
これからの季節、誰でも条件次第で熱中症になる可能性がある。正しい予防方法を知り、しっかりと対策することが大切だ。自分の身体の声を聞きながら、無理することなく美味しく夏を乗り切って頂きたい。