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吉田正尚が務める「グリーン・モンスターの番人」の系譜。最後の4割打者や最後の三冠王に、あのマニーも

宇根夏樹ベースボール・ライター
マニー・ラミレス@グリーン・モンスター July 29, 2005(写真:ロイター/アフロ)

 来シーズンから、吉田正尚は、フェンウェイ・パークをホームとする。ESPNのジェフ・パッサンらが、ボストン・レッドソックスと5年9000万ドルで契約合意、と報じている。昨オフに鈴木誠也がシカゴ・カブスと交わした、5年8500万ドルを上回った。

 現時点のメンバーからすると、レッドソックスの外野トリオは、左から右に、吉田、キーケー・ヘルナンデスアレックス・バーデューゴになるだろう。控えは、ロブ・レフスナイダージャレン・デュランだ。

 フェンウェイ・パークのレフトには、高さ約11mのフェンス、グリーン・モンスターが聳え立つ。緑色に塗られた1947年以降、数々の名選手がその前を定位置とし、グリーン・モンスターがホームランを阻み、跳ね返した打球を処理してきた。

 テッド・ウィリアムズは「最後の4割打者」だ。シーズン打率.406を記録した1941年当時は、グリーン・モンスターではなくザ・ウォールだったが、1947年に2度目の三冠王となっている。

 マイク・ヤストレムスキ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)の祖父、カール・ヤストレムスキは、1967年の三冠王だ。2012年にミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)が三冠王となるまでは、半世紀近く、ヤズが「最後の三冠王」だった。

 ヤズの孫は、3年前にメジャーデビューした。MLB.comのマリア・ガーダッドによると、この年、ジャイアンツがボストンへ遠征する前には、ジャイアンツのブルース・ボウチー監督(現テキサス・レンジャーズ)のところに「フェンウェイ・パークでマイクにレフトを守らせてほしい」と電話が何本もかかってきたという。ボウチー監督はその要望に応え、マイクは、グリーン・モンスター越えではないものの、ホームランを打った。

 テッドとヤズと同じく、ジム・ライスもMVPを受賞し、引退後には殿堂入りしている。1997年に阪神タイガースで出場7試合のマイク・グリーンウェルは、1980年代の終盤から1990年代の中盤まで、グリーン・モンスターの前を定位置としていた。

 その後は、トロイ・オレアリーを挟み、マニー・ラミレスがレフトを守った。PED(パフォーマンス向上薬)の使用がなければ、マニーも殿堂入りしているに違いない。直近の2人は、アンドルー・ベニンテンディ(現FA)とバーデューゴだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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