災害への「水の備えなし」は3人に1人。水道水でも水の備蓄はできる
大阪では4割が「何もしていない」
地震、豪雨災害、土砂災害などライフラインが寸断されると「水」に困る。被害が広範囲に及ぶと、各家庭に水が行き渡るようになるまで数日から1週間、大きな災害になるとそれ以上の時間がかかる。
そのため最近では水の備蓄が推奨されているが、実際には、災害に対する水の備えをしていない人は「3人に1人以上」であることが、ミツカン水の文化センターの調査でわかった。
8月1日の「水の日」をまえに、毎年行われる「水にかかわる生活意識調査」。今年度の調査は6月に、東京圏、大阪圏、中京圏の1500人を対象に行われた。
「災害時に対する水の備え」について「何もしていない」人は、2014年から減少傾向にあった。昨年は30.1%まで減少したが、今年は34.3%と再び増加している。地域別にみると東京圏が30.6%、中京圏が32.4%、大阪圏が40.0%と大阪圏での備えの低さが目立った。
では、備えをしている人はどのようなことをしているのか。結果は以下だった。
「市販のペットボトル入りの水を買い置きしておく」(52.5%)が圧倒的で、買い置き量は、「2〜3日分」(34.4%)、「1週間分」(24.7%)、「4〜6日分」(10.4%)となった。
また、大量の買い置きをする人もいることがわかった。「2〜3週間」(7.5%)、「1か月」(5.8%)、2か月以上(2.7%)と、「1週間以上」の備蓄をしている人を合わせると40.7%いた。
この調査から、災害に対する水の備えについての「意識の差」が浮かび上がった。「何もしていない」が「3人に1人以上」いるのに対し、大量の備蓄をする人もいる。
水道水で備えるという選択肢
調査結果をみて不思議に思ったのは、水道水での備蓄が入っていないことだ。
水道水での備蓄は、比較的簡単で確実な方法だ。ポリタンクなど密閉できる容器に入れて水道水を保存しておく。
ポリタンクを選ぶときには以下の点に注意する。
1)できれば口が広い(手が入る程度)もの…タンク内部が洗いやすい。内部に汚れがあると水は腐敗しやすい。
2)透明でないもの…太陽光や温度上昇によって、塩素の殺菌能力が低下するのを抑える。
3)いっぱいにしたときに自分の力でもてる…一般的なポリタンクは20リットル入る(満水時の重さ20キロ)が、つかいやすさ、入れ替えやすさから10リットル(満水時の重さ10キロ)のタンクを用意したほうがよい場合もある(個人の体力による)。
次に、ポリタンクへの水道水の入れ方、入れ替え方は以下のとおり。
1)洗浄したポリタンクをよく乾かしたのち、水道水を少しずつポリタンクに注ぐ。勢いよく注ぐと空気が入り、腐敗の原因になるので注意。
2)ポリタンクの口元から少し水が溢れるまで注ぎ、空気が入らないよう注意しながらキャップを閉める。
3)くみおいた日付をタグに書いてポリタンクに付ける。3日をめどに入れ替えると、そのまま飲める。1か月をめどに入れ替えると、煮沸後の飲用できる。交換時にもとのポリタンクに入っていた水は、洗濯、掃除などに使う。
4)ためた水はなるべく暗くて涼しい場所におく。
以上のやり方で、日頃から水道水をためおくと、災害に備えることができる。
風呂の残り湯との併用を考える
1人が、1日に必要な飲み水は約2リットルとされるが、被災するとビスケットや乾パンなど乾燥した食べものが中心になり、水分が不足しがちになる(普段は食べものに含まれる水分を1リットル程度吸収している)。だから1日に3リットル程度の飲み水が必要だ。
そして、必要なのは飲み水だけではない。手や顔を洗う、トイレを流すなど、衛生を保つための水が1日に10~15リットル必要になる。ペットボトルでの備蓄をしている人は、この衛生を保つ水のことを忘れているケースがある。
仮に5日分を備蓄するとなると、
飲用 15リットル
衛生用 50~75リットル
が必要になる。
これを水道水のくみおきと、風呂の残り湯などで備える。
風呂の残り湯は衛生用の水として使う。一般的な浴槽は満杯時に200リットルの水が入る。残り湯がどれくらいあるかは個人差があるが、50〜100リットルくらい残っているのではないか。
このお湯を次に風呂の湯を交換するまで流さずにとっておく。風呂から出るときに、浮いている髪の毛などをさっとすくい上げ、しっかりと、ふたをしておく。とくに小さな子供のいる家庭では、子供が風呂に落ちないよう注意が必要だ。
やり方は1つではないので、自分にあった方法で、災害への備えをするとよいだろう。