盗まれた茶わんを安く買って高く転売した買取店 被害者は返せと言える? #専門家のまとめ
東京・日本橋の高島屋から無職の男が盗んだとされる1040万円の純金製の茶わんは、事件当日のうちに180万円で江東区の買取店が買い取り、480万円で台東区の買取店に転売されていました。いずれの買取店も「盗品だとは知らなかった」と述べています。被害者である茶わんの製造販売会社は返せと言えるでしょうか。買取店の法的責任について参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
▼盗品の場合、転売先がこれを知らなかったとしても、被害者は2年以内なら購入代金分を負担することで返せと言えるというのが原則
・ネットオークションで落札した物が盗品だった!被害者から返せと言われたら?(Yahoo!ニュース エキスパート 前田恒彦)
▼買取店のような古物商には責任が加重されており、被害者は1年以内なら購入代金分を負担することなく返せと言えるという例外あり
・東京地裁が質店に返還命令、民法の即時取得について(企業法務ナビ)
▼180万円という買取価格は異様に安く、詳細な本人確認や記録作成が義務付けられる「200万円」を超えないようにした可能性も
・〈純金茶わん窃盗〉「知らなかったというけれど…」1040万の盗品を180万で買い叩き480万で売り逃げた買取店の罪はどうなるか? 複雑化する純金窃盗の捜査と後始末「損失を被るのは誰だ?」(集英社オンライン)
▼盗品だと知りながら買い取っていれば、買取店は最高で懲役10年の盗品等有償譲受罪に問われる恐れがある
・純金茶わん窃盗、持ち込まれた古物店は買取価格2倍超の480万円で当日転売…「大黄金展」過去にも度々盗難(読売新聞オンライン)
エキスパートの補足・見解
茶わんは警察が台東区の買取店から押収したものの、必要がなくなれば還付しなければなりません。ここでも「誰に返せばいいのか」という問題が生じます。
ただ、刑事訴訟法では、盗品の場合、被害者に還付すべき理由が明らかなときは、被害者に対して返さなければならないとされています。警察の還付要綱でも、たとえ盗品だと知らなかったとしても、古物商が同業者から購入した盗品については、被害から1年以内であれば被害者に還付すると規定されています。
そうすると、警察から被害者に還付された上で、買取代の返金請求や精算については買取店に持ち込んだとされる男や2つの買取店の間の民事的な解決に委ねられることになるでしょう。(了)