オートバイのあれこれ『中免ライダーが熱狂した。カワサキのミドルZたち』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『中免ライダーが熱狂した。カワサキのミドルZたち』をテーマにお送りします。
近ごろトレンドになっている絶版バイクの中でも、ひときわ熱烈に愛されているのが、カワサキの空冷Z系モデルです。
元祖Zである『Z1(900SUPER4)』にはじまり、国内版の『Z2(750RS)』、硬派なスタイルの『Z1000Mk.Ⅱ』や『Z750FX』、そして『Z1100GP』など、大排気量モデルがその代表的存在なのですが、その一方で、日本の免許制度に合わせて作られた中型(400cc)クラスのZも、それらフラッグシップに見劣りしない「イケてる」オートバイとなっていました。
今回は、1970年代から80年代の中免ライダーを熱狂させた、ミドルZを2つご紹介しましょう。
◆Z400FX
空冷4気筒エンジンを搭載した最初のミドルZが、この『Z400FX』でした。
70年代後半、日本のバイク市場は二輪免許制度の改定(=中型二輪区分の創設)により400ccクラスのバイクが主流になっていたのですが、それにもかかわらず、このクラスには当時最も人気の高かった並列4気筒エンジンを搭載するモデルというのが1つもありませんでした。
(70年代半ばにはホンダの『CB400FOUR』があったものの、これも77年には生産が打ち切られてしまいました)
そのようななか、カワサキは世間の中免ライダーの熱望に応えるべく、400ccの4気筒エンジンを開発。
これを角形スタイルのボディに搭載し、こうしてZ400FXが誕生しました。
Z400FXは4気筒を待ち焦がれていた中免ライダーのハートを独り占めし、デビューするやいなや大ヒットを記録します。
4気筒であること、そしてまた、Z1000Mk.Ⅱといった兄貴分に通ずる風格と硬派っぷりを備えた佇まいは、まさしく“カワサキのZ”であり、Z400FXは発売から数年を経ても高い人気を保ち続けたのでした。
◆Z400GP
上で紹介したZ400FXの後継として作られたのが、『Z400GP』です。
Z400FXの登場を機に、案の定中型クラスにも4気筒ブーム(400マルチブーム)が到来。
カワサキ以外のメーカーも、こぞって400マルチの開発に乗り出しました。
他メーカーの400マルチは当然、Z400FXを上回るスペックや装備を引っ提げて現れ、FXは依然として人気だったものの、“先進性”という点でカワサキは他社の後塵を拝することとなります。
とくにホンダが81年(昭和56年)にリリースした『CBX400F』は先進技術の塊であり、ホンダにひと泡吹かせられたカワサキは急ピッチでこのCBXに対抗し得るモデルを開発。
そうして出来上がったのが、このZ400GPでした。
エンジンの最高出力をCBXと同じ48psまで増強し、フレームも新たに製作。
さらにリヤサスペンションもCBXと同様のモノショック(1本ショック)にするなどして、先代のFXから大幅に運動性能が向上されていました。
FXの人気ぶりにあぐらをかかず、丹精込めてZ400GPを作り上げた甲斐あってか、GPはデビューイヤーの82年に開かれた鈴鹿4時間耐久レースにて早速優勝。
カワサキは最高の実績でもってして、GPのパフォーマンスの高さを世間へアピールすることに成功したのでした。
Z400GPは、熾烈な400マルチ合戦の中で見せた“カワサキの意地”が具現化されたモデルだったといっていいでしょう。