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【富田林市】なんと300本のバナナの木が富田林に!国産河内バナナ栽培に情熱を燃やす龍泉ファーム

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

この画像は、富田林市内で写しました。一見何の植物かわからないかもしれません。良くみると緑色の房になっている部分を注目してみてください。この形をした黄色いものであればどこかで見たことはないでしょうか?実はこれはバナナです。

富田林でバナナと聞いても首をかしげるかもしれません。温室のあるサバーファームは、現在休園中です。間違えて河内長野にある大阪府立花の文化園の温室を紹介していると思われているのではないでしょうか?

しかし、画像は本当に富田林にあるバナナです。それも温室の植物園ではなく、作物として栽培しているのです。場所は東條地区の龍泉。富田林で栽培されるバナナと聞いてとても気になった私は、金剛ふるさとバスに乗って現地に行ってみることにしました。

最寄りのバス停は東条小学校前です。

バス停から少し南に歩き、すぐに左折して東に向かう道を歩きます。具体的にはJA大阪南 ライスセンターに向かう道を歩きます。

佐備川を渡っていきます。

田植えも終わり、秋にかけて稲が成長していきますね。

振り返ると嶽山が見えます。山頂付近には亀の井ホテル富田林と特別養護老人ホーム オレンジ荘の建物が見えます。

ライスセンターの個性的な建物が近づいてきました。この近くにバナナ畑があるはずです。

すると大きなハウスが姿を現しました。

中に入っているもの。ナスやトマトなど、いつものハウスで見るものとは明らかに違います。それにしても大きいですね。

河内バナナ、龍泉ファームの冨岡さんと伊藤さんからお話を伺い、中を見せていただくことになりました。おふたりは姉と弟で、もうひとり、おばに当たる澤田さんと3人体制とのこと。ただし伊藤さんは会社員で手伝いの立場です。バナナ以外の作物もあるので、農園の正式名称は龍泉ファームです。

ということで、さっそくハウスの中に案内していただきました。ハウスといっても夏の現在は、天井部分は開いている状態です。

熱帯ジャングルのようなバナナ畑がありました。驚いたことに300本のバナナを植えているそうです。

画像提供:龍泉ファームさん
画像提供:龍泉ファームさん

こちらは後日送ってくださった画像です。上から見下ろすようにバナナ畑を撮影しています。

昨今は日本の夏も熱帯地域のように暑くなりましたが、寒い冬があります。だから余計にこの姿には驚きました。屋根の部分は覆われていませんが、真夏には38度くらいにまで上がるとのこと。

そしてこのように、青いバナナの房が見えます。植物園の温室みたいですね。

こちらはトップの画像と同じです。緑色したバナナの房の下にある赤紫色したのがバナナの花です。

そして、バナナに混じってブドウも栽培していました。デラウェアとのことです。

バナナの根元にはもみ殻が敷き詰められていました。これは冬場の保温効果を狙っているとのこと。

そして、バナナの葉が多くあります。バナナの葉は日本ではあまりなじみはありませんが、東南アジアや南アジアでは料理などに非常に重宝されるものです。ただ冨岡さんの話では、現状では廃棄処分しているとのこと。なんともったいない!

富田林は農業が盛んな地区で、ナスやキュウリは大阪府でいちばん採れるそうです。その他にも名物の海老芋やトマト、ブルーベリーやイチゴ、米などいろいろ栽培していますが、まさかのバナナです。ではなぜバナナの栽培などを始めようとしたのでしょうか?聞いてみました。

バナナ栽培には姉の富岡さんと、弟の伊藤さんの考えがうまくマッチして行われたようです。まず伊藤さんですが、7・8年前からバナナを開花させるための研究を始めたそうです。目的は子どもに無農薬のバナナを食べさせたかったからとのこと。

伊藤さんの話では、日本に入ってくるバナナは基本的に農薬を使用していて、輸入時にどっぷりと殺菌剤液に浸けて送られてくるとのこと(有機系バナナを除く)。そのような理由で、公が経営している保育園ではバナナを子供たちに食べさせないそうです。

沖縄を除く日本で出回っているバナナは、ジャイアント・キャベンディッシュという種類だけしかなく、本当は世界で50種類のバナナがあるそうです。龍泉ファームさんでは10種類のバナナを栽培していますから、普段お目にかかれないバナナがここで手に入るわけです。

バナナの栽培を始めてから、試行錯誤の上、昨年ついにバナナの実をつけることができました。一部は販売しましたが、ほとんどのバナナは近隣の人に配ったそうです。もちろん将来的には商用化できればという目標があります。

そして意外と思ったのはバナナは自然に熟して色が変わるわけではなく、バナナは人工的にエチレンガスで黄色くしていること。そして緑のままの実を食べてもズッキーニをカスカスにしたような食感で、とても食べられる代物ではないそうです。

伊藤さんと冨岡さんは自然の方法で黄色くなる方法を試行錯誤しました。そして思いついた方法はエチレンガスを出す果物といっしょに袋に入れて密封する方法。具体的にはアボガドとりんごを一緒に入れて袋を縛っておくと、バナナは黄色くなるそうです。

さて一方の冨岡さんが農家を始めた動機ですが、無農薬の野菜を家族に食べさせたいがために家庭菜園からスタートしたとのこと。バナナについては、伊藤さんの影響があったようです。3年ほど前から農家として活動しましたが、その前は農業とは無縁の一般の会社員でした。

そのため、このファームではバナナ以外にもいろいろなものを栽培しています。農業用地は、冨岡さんらの親族が所有していて利用していない場所を借りているそうです。

一般的な農家さんは、富田林市が行っているきらめき農業塾や農業大学といった教育機関で学んでから就農しますが、家庭菜園の延長線上で始めた冨岡さんらは、そういう教育を一切受けていません。

その代わり、龍泉ファームの周りには同じように農業を営んでいる人がたくさんいるので、そういう人たちにいろいろなアドバイスを受けながら続けているとのこと。

バナナ以外では、トマト、イチゴ、かぼちゃ、サツマイモ、ぶどう、里いも、キュウリなどと幅広く行っています。龍泉ファームさんの土地は斜めになっているそうで、高いところと低いところがあるので、水の流れを把握しながらその場所に適した作物を植えているとのこと。

伊藤さんは手伝いレベルで、メインで働いているのは冨岡さんと澤田さんの女性ふたりです。冨岡さんの話ではコロナ禍で家に籠りがちとなり、結果太ってしまったそうです。ところが農業を始めて体力を使うようになって減量し、ダイエットには成功したと喜んでいました。

取材した日は雲はあるものの、まあまあ天気が良かったのですが、とても風が強い印象でした。冨岡さんと伊藤さんによれば、嶽山からの風が強く、この日はまだまだ弱いとのこと。強いときは本当に大変なことになるそうです。

農業をしているとどうしても鳥や獣に狙われ、イノシシやカラスからの攻撃にも備えつつ、やられてしまう場合もしばしばあります。特にサバーファームが休園になってから増えたとのこと。これはどの農家さんも悩んでいる点ですね。龍泉ファームさんは基本的に無農薬なので、虫との戦いも大変だそうです。

画像のバナナの苗も、3,000円で販売しています。伊藤さんによるとバナナの花をつけるまでが本当に大変なのだそうです。伊藤さんの経験上、40枚以上の葉が出ると花をつけるので、興味のある方はバナナの苗を買ってチャレンジしてみてはいかがでしょう。

龍泉ファームさんでわけていただいたバナナの葉
龍泉ファームさんでわけていただいたバナナの葉

私は冨岡さんと伊藤さんに、バナナは実だけでなく葉や花も商品価値が高いという話をしました。ひとつの例として、葉っぱで肉や魚、果物、粉などを包んで蒸したり焼いたりします。また殺菌効果もあるので、食品の包装材にも優れています。

バナナの葉を底に敷いてご飯を炊いてみました
バナナの葉を底に敷いてご飯を炊いてみました

そのようなこともあり、バナナは実以外でも商品として販売ルートができればよいなという話になりました。

最後に冨岡さんと伊藤さんに今後の目標や夢を聞いてみると、やはりできるだけ農薬を使いたくないとのこと。そして現在は鍬を使った開墾なので、トラクターが手に入ったら作業効率が良くなるのに、ということでした。

ということで、龍泉ファームさんにお邪魔しました。冨岡さんたちは出来れば河内バナナを富田林の名物にしたいという希望があります。富田林で無農薬バナナが栽培されるという事実もすごいですが、それが無事に商用化できて本当に富田林の名物になったら素敵なことだと思いました。

龍泉ファーム

住所:大阪府富田林市龍泉

アクセス:近鉄富田林駅からバス 東条小学校前バス停から徒歩10分程度

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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