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バットにも愛情たっぷりの大谷、16打席ぶりの安打はフェンス直撃181キロ弾二塁打!

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
マリナーズ戦で右翼フェンス直撃の二塁打を放つエンゼルスの大谷翔平(三尾圭撮影)

 7月25日(日本時間26日)のシカゴ・ホワイトソックス戦の3打席目に今季9号ホームランを放って以来、メジャー最長となる15打席無安打とヒットが出ていないロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。

 「僕の中で捉えたと思った打球が安打につながらないところでイメージとのズレがある。ここ数試合に関しては、自分の方に問題がある」と『ミニスランプ』に陥ったことを告白した。

 イメージとのズレとは「打席の中で見逃しているボールに対して、審判とのズレもあると思いますし、キャッチャーとのズレもある」と複数の要素が絡み合っていると説明。

 打席に立ったときに審判とのズレを感じてしまうと、カウントを追い込まれてからストライクゾーンを僅かに外れたボールを見送ることができずに、早打ちになってしまったり、悪球に手を出したりしてしまう。

 スランプに入ってしまうと、普段ならば安打になる打球もアウトになってしまい、27日のマリナーズ戦での第4打席でも痛烈な打球を一二塁間に飛ばしたが、ジャンプしたディー・ゴードンの好守に安打を奪われた。

 「普段通りに打席の中で(ボールを)見ていけない。良いときは良いイメージで入れるけど、なかなか難しい」と安打が出ない中、大谷は打席での難しさを口にした。

芯の部分の塗装が剥げ落ちた練習用バットを持って打席に立った大谷翔平(三尾圭撮影)
芯の部分の塗装が剥げ落ちた練習用バットを持って打席に立った大谷翔平(三尾圭撮影)

 

 打線が爆発して二桁得点を奪った28日のマリナーズ戦でも、大谷だけは4打席目までヒットがなく、一人蚊帳の外状態だった。

 そこで大谷が手にしたのは、「普段は弾きが悪くて使わない」と言う練習用のバット。

 「いつも頑張っているので、『彼』ならば打ってくれるのかなと思いました」と芯の部分の塗装が剥げ落ちたバットを手に打席へ向かった。

 超一流の選手は用具を大切にする。マリナーズのイチローが愛用のバットを保湿性と耐衝撃性の高い特別ケースに入れて大切に扱っているのは有名な話だし、松井秀喜も野球用具を丁寧に扱ってきた。

 大谷は練習用のバットを『彼』と呼ぶほどに愛情を込めて扱い、その『彼』から16打席ぶりの安打というプレゼントをもらった。

ベンチで塗装の剥げた練習用バットを手に、打席に備える大谷翔平(三尾圭撮影)
ベンチで塗装の剥げた練習用バットを手に、打席に備える大谷翔平(三尾圭撮影)

 左腕のロエニス・エリアスが投じた96マイル(154キロ)の速球を完璧に捉えた打球は、大谷の今季自己最速となる113マイル(181キロ)の打球速度を記録。

 「(フェンスを)越えると思った」と大谷が感じた打球は、右翼フェンスを直撃する二塁打となった。

 ベンチから目撃したマイク・ソーシア監督が「フェンスに穴を開けるかと思った」と漏らしたほどに強烈な打球だった。

 「もちろん(安打が)出ないよりも、最後やっぱり出た方が明日につながる」と試合後に16打席ぶりの安打を振り返った大谷には、この打席をきっかけに「ズレ」を修正して、良いイメージで打席に立てるようになってもらいたい。

16打席ぶりに安打を放った大谷翔平は「良いイメージ」を取り戻すことができるか?(三尾圭撮影)
16打席ぶりに安打を放った大谷翔平は「良いイメージ」を取り戻すことができるか?(三尾圭撮影)
スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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