短い周期でのほぼ全国的な大雨と奄美地方の梅雨明け
令和2年(2020年)の梅雨
令和2年(2020年)は、5月10日に鹿児島県奄美地方、翌11日に沖縄地方で梅雨入りをしました。
近年は、奄美地方がより南に位置する沖縄地方より先に梅雨入りすることが多く、今年もそうでした。
ただ、一般的には南に位置する地方から梅雨に入ります(表)。
そして、一般的には南に位置する地方から梅雨が明けます。
令和2年(2020年)の梅雨明けは、沖縄地方で平年より早い6月12日でした。
梅雨明けした沖縄地方では、太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多く、16日先までの天気予報をみても、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)は7月3日だけです(図1)。
それ以外は、お日様マーク(晴れ)か白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)だけです。
しかし、沖縄地方より早く梅雨入りした奄美地方では、平年の6月29日を過ぎても梅雨明けしませんでした。
そして、梅雨前線上を低気圧が3日ほどの短い周期で通過し、ほぼ全国的に低気圧が通過するタイミングで大雨となっています。
令和2年(2020年)は、今の所、降る時はザっと降って大雨になるものの、晴れる日も多いという「陽性の梅雨」です。
7月3日~4日の雨
7月1日午後から2日は西日本から東日本の太平洋側に大雨をもたらした低気圧と前線が海上に抜け、高気圧が通過するため晴天が広がりました。
しかし、7月3日~4日は、梅雨前線上で発生した低気圧が東シナ海から九州・四国を通過する見込みです(図2)。
このため、西日本から東日本では、太平洋側を中心に大雨の可能性があります。
気象庁では早期注意情報として、5日先までに警報を発表する可能性を「高」「中」の2階級で発表しています。
これによると、7月3日は鹿児島、宮崎、熊本で大雨警報を発表する可能性が「高」となっています。
また、西日本と東日本でも太平洋側を中心に大雨警報を発表する可能性が「中」となっています(図3)。
さらに、7月4日も鹿児島、宮崎、熊本県では大雨警報を発表する可能性が「高」となっており、西日本と東日本の大雨警報を発表する可能性が「中」の範囲も広がっています。
これまでも各地で周期的に大雨が降っていますが、同じ場所で再度大雨が降ると土砂災害の危険性が非常に高まりますので、雨の降り方には注意が必要です。
少しずつ北へ
7月3~4日の雨だけではありません。
その3日後の、7月6~7日も梅雨前線に低気圧が発生して東進しますので、西日本から東日本だけでなく東北地方も大雨の可能性があります。
太平洋高気圧が少し強まって梅雨前線をおしあげますので、大雨の範囲は、7月3~4日に比べると少し北へ移動します。
このため、奄美地方の16日先までの天気予報をみると、7月5日以降は、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が続きます。
降水の有無の信頼度は、5段階表示で一番高いAの予報が続きますので、奄美地方では、7月5日頃に梅雨明けになりそうです。
ただ、沖縄に続いて奄美地方でも梅雨明けとなっても、九州南部より北に位置する地方では、梅雨前線上に低気圧が発生して大雨を降らせることは続きます。
7月9~10日も梅雨前線上に低気圧が発生して東進しますが、引き続き太平洋高気圧が少し強まって梅雨前線をおしあげ、大雨の範囲も少し北へ移動し、西日本から東日本、東北地方だけでなく北海道でも大雨の可能性があります。
九州南部の梅雨明け
鹿児島の16日先までの天気予報をみると、7月9日まで連続して傘マーク(雨)ですが、すべて、降水の有無の信頼度は5段階表示で1番高いAです(図5)。
7月10日以降は、お日様マーク(晴れ)の日が続きますが、黒雲マーク(雨の可能性が高い曇り)がついている日もあります。
7月11~13日は白雲(雨の可能性が少ない曇り)ですが、14日以降の黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日は、降水の有無の信頼度が5段階表示で1番低いEか、2番目に低いDです。
7月11日頃に「平年より早い梅雨明けになる」か、「長めの梅雨の中休みに入って梅雨明けは19日以降になる」かは、今の段階でははっきりしていませんが、少なくとも、9日までの一週間は連日雨の予報です。
それも大雨であったり、雷を伴ったりと、油断できない雨です。
しばらくは最新の気象情報の入手に努め、大雨に警戒してください。
タイトル画像、図1、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図2、表の出典:気象庁ホームページ。