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2019年に月に墜落したインド月着陸機チャンドラヤーン2号と、成功までの道程(インド月探査シリーズ)

2019年に打ち上げられたインド初の月着陸機「チャンドラヤーン2号」

1月20日、JAXAの月探査機「SLIM」が、世界で5か国目に月面着陸に成功しました!おめでとうございます!

世界でも月面探査の盛り上がりが始まっており、2023年8月にはインドが一足先に月着陸を成功させています。本日は、インドが月着陸を成功させるまでの軌跡をご紹介していきます。

SLIMを詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

■インド初の月探査機「チャンドラヤーン1号」

インド初の月探査機「チャンドラヤーン1号」©ISRO/Wikipedia
インド初の月探査機「チャンドラヤーン1号」©ISRO/Wikipedia

まず、インド初となる月探査機は「チャンドラヤーン1号」です。チャンドラヤーンとは、「月の乗り物」という意味があります。

チャンドラヤーン1号は2008年に月周回軌道に送り込まれました。この探査機には約30kgのインパクターが搭載され、南極付近の月面に衝突をさせる実験も行っています。このインパクターは墜落直前に水の氷を検出するという画期的な観測成果を挙げました。

その後、チャンドラヤーン1号は意図的に月面へ墜落させ、その役目を終えました。そして後の解析により、月の表面から深さ数mmのところに氷が存在するという結論が出たのです。

■なぜ世界各国は月の南極を目指すのか?

月面基地のイメージ図©JAXA
月面基地のイメージ図©JAXA

それでは、なぜ月の南極を目標地点に決めたのでしょうか。実は月の南極には永久に日光が当たらない日陰の部分があり、氷が豊富に存在する可能性が高いんです。もし氷を見つけることができれば、すなわち電気分解により酸素と水素を手に入れることができます。そうすれば、ロケットの推進薬などの補給基地として月は大きな役割を果たすことができますね。また、地球の南極でも白夜があることと同様、月の南極も日照時間が長いところがあるため太陽光発電の効率も良いのです。そのため、NASAが推進している「アルテミス計画」でも、南極は将来の月面基地の候補になっています!将来的には月は、火星への中継地点としても注目されています。

■惜しくも月面着陸に失敗「チャンドラヤーン2号」

軌道航行モジュール、着陸モジュール、月面探査車で構成される「チャンドラヤーン2号」©ISRO/Wikipedia
軌道航行モジュール、着陸モジュール、月面探査車で構成される「チャンドラヤーン2号」©ISRO/Wikipedia

チャンドラヤーン1号の成功を受けて、チャンドラヤーン2号が2019年に打ち上げられました。ミッション目的は、月の南極への着陸です。チャンドラヤーン2号は、月へと向かうための軌道航行モジュール、着陸モジュール、月面探査車という構成です。チャンドラヤーン2号は無事に月軌道へ到着し、月面探査車を搭載した着陸モジュールは月周回モジュールから切り離されます。

そして、遂に月面への降下を開始します。しかし、上空2kmあたりまでは順調に高度を下げたのですが、高度335mに達した時点で通信が途絶えてしまいます。

その後、NASAの月探査機が撮影した画像により、チャンドラヤーン2号の残骸が発見されました。このことから、着陸モジュールは月面に墜落したと見られています。原因として、ソフトウェアによるエラーによるものや、エンジンの制御が不十分であったなど、様々な説が分析されています。

そして、月に残った軌道航行モジュールは、搭載した8つの科学観測機器を使い今も月の調査を続けています。

チャンドラヤーン2号の失敗は残念でしたが、この後インドは大逆転を決めることになります。次回の記事にご期待ください。

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