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帰省先で感染したらどうすればいい? 年末年始に発熱したら? 例年よりしっかりと準備を

倉原優呼吸器内科医
(イラストACより使用)

1日の新型コロナ新規感染者数・死亡者数は第7波の水準まで到達しており、第8波のピークがいつなのかまだ分からない状況です。加えて、各地域でインフルエンザの流行期入りとなっており、今後同時流行する懸念があります。今年の年末年始は医療逼迫と重なっていますので、感染した場合にそなえて事前準備をしておきましょう。

解熱鎮痛薬と抗原検査キットの準備を

解熱鎮痛薬などの市販薬、新型コロナの抗原検査キットを購入しておきましょう(図1)。日頃から、ご家族の人数分を備えておくことをおすすめします。

図1. 帰省先での感染に備えて持っていくべきもの(筆者作成)(イラストは看護roo!、イラストACより使用)
図1. 帰省先での感染に備えて持っていくべきもの(筆者作成)(イラストは看護roo!、イラストACより使用)

持病でお薬を飲んでいる人や、妊婦・高齢者などは、かかりつけの医療機関が休業する前に常備薬について相談するようにしてください。市販の解熱鎮痛薬がすすめられない場合もあります。

抗原検査キットは、必ず国が承認した「体外診断用医薬品」あるいは「第一類医薬品」を使用するようにしてください。「研究用」と書かれたものは、精度が保証されていない未承認の製品なので注意してください。

帰省する前にPCR検査や抗原検査キットで1回陰性を確認しても、その後連泊する場合、潜伏期間を経て発症することがありますから、医学的な意義は決して高くないことを認識しておくべきです。

年末年始に帰省される方は、出発前や帰省先から戻った際に検査を受けることが可能です。各都道府県の無料検査事業サイトが公開されています。

日用品の備えも

その他、普段から使用している日用品で多めに備えておきたいものとして、以下のものはあってもよさそうです。

  • マスク
  • アルコール消毒液
  • ごみ袋
  • ティッシュペーパー・トイレットペーパー
  • 生理用品
  • ハンドソープ・洗剤
  • スポーツドリンク・ペットボトル飲料
  • レトルト食品・インスタント食品・パックごはん
  • 紙おむつ・粉ミルク

年末年始に症状が出た場合

新型コロナ第8波と重なっているため、医療機関がかなり受診しにくくなります。しかし、本当に医療が必要な人の受診ルートを確保する必要があります。

発熱などの症状が出た場合、まず手持ちの抗原検査キットで検査してください。新型コロナが「陽性」だった場合は、各自治体の登録センターへ自己登録しましょう。インフルエンザも同時に検査できるキットが市販されていますが、流通が十分でなく、新型コロナを優先的に検査することをおすすめします。

重症でない場合、手持ちの解熱鎮痛薬などを服用して様子を見るようにしましょう。新型コロナは、発熱・のどの痛み・全身のだるさ・咳・鼻水などの症状が出ますが、ほとんどの人は2~4日で軽快します。

手持ちの薬がない場合、近くに住む親戚や知人などに協力してもらって市販薬を購入しましょう。濃厚接触となっているご家族でも、マスクを着用して短時間であれば必需品の買い物は問題ありません。

子どもの場合、日本小児科学会が運営する「こどもの救急」のサイトを参考にしてください。

受診が必要な場合、厚労省の都道府県別の案内を参考にするとよいですが、年末年始の営業日までは掲載されていない自治体も多いです。よく分からない場合は、各自治体の窓口に相談するとよいでしょう。

受診を急いだほうがよさそうな場合、自治体の所定の相談窓口だけでなく、「救急安心センター(#7119)」、「子ども医療電話相談(#8000)」(子ども医療電話相談の実施時間帯はこちらを参照)を検討してください(図2)。

図2.「救急安心センター」と「子ども医療電話相談」(筆者作成)(イラストは看護roo!より使用)
図2.「救急安心センター」と「子ども医療電話相談」(筆者作成)(イラストは看護roo!より使用)

帰省先で感染したら?

帰省先で新型コロナやインフルエンザに感染した場合、軽症なら、そのまま帰省先で療養してもよいでしょうが、感染を広げてしまうおそれがある場合は、自家用車等があれば、帰省を取りやめて帰ることも検討ください。

実際には公共交通機関を利用している人もいるかもしれませんが、発熱した状態で公共交通機関を使って地元に戻ることは現状すすめられません。

新型コロナの陽性登録センターの多くは居住自治体の住民を対象としていますが、帰省など一時的に滞在している場合、そこで引き続き療養するのであれば、登録可能とする自治体もあります。地域によっては、宿泊施設を用意してくれることもあるようです。

帰省地で陽性登録できなかった場合でも、症状が悪化して困ったときは、療養している自治体の所定の相談窓口に連絡しましょう。

12月28日までに受診を

多くの病院の最終営業日は12月28日となっています。12月29日から年末年始の休業に入り、1月3日まで外来等の受診はかなり制限されます(図3)。稼働医療機関は、平時の2割程度にまで減少します。

図3. 年末年始は6連休の医療機関が多い(筆者作成)(イラストはフレームイラストより使用)
図3. 年末年始は6連休の医療機関が多い(筆者作成)(イラストはフレームイラストより使用)

現時点で新型コロナ第8波によりかなり救急医療が逼迫している状況にありますが、そもそも平時から年末年始は、ただでさえ開いている医療機関が少ないです。

普段から悩んでいる症状がある場合、それが年末年始で悪化したときに受診できなくなるおそれがあるため、12月28日までに受診するよう意識してください。

まとめ

帰省する・しないにかかわらず、年末年始に感染したときのことを頭のどこかで考えておく必要があります。

基本的な感染対策を徹底し、移動先での感染リスクの高い行動は控えるようにしましょう。

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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