台風15号は特別警報発表の試金石
今日、8月30日から、気象庁は「特別警報」の発表を開始します。
これまでにも重大な災害が起こると予想されるときには、気象庁は各種の警報を発表して、警戒を呼び掛けてきました。しかし近年、警報だけでは対応できないような気象災害が多発し、注意喚起の方法を見直すべきではとの議論が起きていました。
その直接のきっかけは、平成23(2011)年の台風12号です。この台風では、紀伊半島を中心に広い範囲で1000ミリを超える豪雨となり、100名近い方が亡くなりました。この時の雨の降り方は、これまでの大雨警報の想定雨量をはるかに超える規模のものでした。
そこで、こうした稀にみる気象現象に対しては、気象業務法を改正し「特別警報」を発表することになったわけです。ちなみに法律が通ったのは5月末でしたので、その3か月後の本日からの運用ということになります。
「特別警報」が発表される基準は、想定地域で数十年に一度起こるかどうかの異常気象ということですが、逆に言うと日本列島全体では、年に何回も発表されると思います。こうしたとき、「また特別警報か」と思わずに、想定地域の方は、自分が経験したことのないような事態になっていると認識し、ただちに自分の身の安全を図っていただくというのが、法律の主旨だと思います。
では今回の台風15号で、「特別警報」が発表される事態になるのでしょうか。
今回の台風は、雲画像などからもわかるように、小さな台風で今後、温帯低気圧化していくものと考えられます。したがって、台風本体による特別警報級の暴風雨は無いと思われます。
しかし、日本列島には前線が解析されていますので、この前線近傍では、トータルで300ミリ以上の大雨になる所もあるのではと予想されます。
「特別警報」を発表するのは気象庁の専権事項ですから、我々がどうのこうのと言うことは出来ませんが、実は個人的には発表されるかどうかには、非常に関心を持っています。
というのも、今回の台風と前線による大雨は(まだ結果は出ていませんが・・)普通によくある現象です。
したがって「特別警報」発表の有無が、「特別警報」のレベルに関わってくるからです。いずれにしろ、今回のケースは、今後の「特別警報」の基準になっていくことは確かでしょう。
気象庁・特別警報の概要
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/index.html