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村上宗隆は三冠王のために欠場し、王貞治らのシーズン55本塁打を上回る機会を減らした

宇根夏樹ベースボール・ライター
村上宗隆 AUGUST 7, 2021(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 村上宗隆(東京ヤクルト・スワローズ)は、10月2日の試合に出場しなかった。この日は、東京ヤクルトの142試合目。レギュラーシーズンの残りは、10月3日の1試合だ。

 一方、村上に次ぐ打率リーグ2位の大島洋平(中日ドラゴンズ)は、シーズン最終戦となる10月2日の試合に出場し、4打数1安打に終わった。これにより、村上の三冠王は、ほぼ確定した。村上は打率.317、大島は打率.314。10月3日に村上が4打数以下の場合、首位打者を逃すのは4打数0安打しかない。ということは、3打数0安打となった時点で交代すれば、逆転は起きない。村上の55本塁打と132打点は、それぞれの2位に25本差と45打点差をつけている。

 また、現時点の55本塁打は、2013年にウラディミール・バレンティンが記録した60本塁打に次ぐ、歴代2位タイだ。1964年の王貞治、2001年のタフィー・ローズ、2002年のアレックス・カブレラと並んでいる。村上は、9月13日の2本塁打、シーズン54本目と55本目を最後に、13試合続けてホームランがなく、この間は44打数5安打(打率.114)に終わっている。

 10月2日の試合に出場しても、残り2試合で5本のホームランを積み上げ、バレンティンに並ぶのは難しかった。ただ、村上は、ホームランをあと1本打てば、王、ローズ、カブレラの3人を上回り、シーズン記録の歴代単独2位に浮上する。村上は、10月2日の欠場により、その機会を2試合から1試合に減らした。

 9月半ばから調子を落としていただけに、1試合とはいえ、欠場することでリフレッシュできる、という見方もできよう。けれども、それだけが理由であれば、10月2日ではなく、リーグ優勝を決めた後、9月27日~30日の4連戦のどこかでもよかったはずだ。

 三冠王は、王を含む7人が計11度達成している。王のシーズン55本塁打を上回った選手は、1人しかいない。

【追記:10/3】村上は、10月3日の4打席目にホームランを打った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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