またもカリブ海に猛烈ハリケーン出現 「マリア」はプエルトリコに上陸へ
追記(9月21日):
ハリケーン・マリアは、現地時間20日朝プエルトリコに上陸した。上陸時の中心気圧は917hPa、最大風速69メートルのカテゴリー4の勢力で、1928年以来最大規模となった。2日間の降水量は960ミリに達し、島の100%が停電に陥った。
2週間ほど前、ハリケーン・イルマがカリブ海諸国に壊滅的な被害を与えたばかりだというのに、再び別のハリケーンが猛威を振るっています。
新たに発生したハリケーン・マリアは、現地時間18日(月)夜、7万2千人が住むカリブ海ドミニカ国を直撃しました。上陸時の中心気圧は924hPa、最大風速は72メートルのカテゴリー5(ハリケーンの強さの中で最強)の勢力で、ドミニカ国史上最強のハリケーンとなりました。
その被害は同国の要人の家にも達し、首相は自身のFacebookに下記のような投稿をしています。
「My roof is gone. I am at the complete mercy of the hurricane. House is flooding. (我が家の屋根が飛ばされた。私はハリケーンのなすがままだ。家は水に浸かってしまった。)」
すでに被害が伝えられていますが、ハリケーン・マリアの脅威は、まだまだ終わりそうにありません。
マリアの予想進路
マリアはさらに勢力を増し、現地時間19日(火)夜の中心気圧は909hPa、最大風速は78メートルのカテゴリー5となっています。909hPaというのは、イルマの気圧よりも低く、過去に大西洋で発生したハリケーンの中で10番目に低い記録です。
今後も勢力を維持しながら、現地時間20日(水)にはプエルトリコに上陸する見込みです。もし今の強さのまま上陸となると、プエルトリコ史上最強のハリケーンとなります。プエルトリコは1928年にカテゴリー5のハリケーンの直撃を受けていますが、風速で比較するとマリアの方が強くなる恐れがあるのです。予想される雨量は最大で640ミリ、最大瞬間風速は90メートルにも及びます。
ハリケーン・イルマの被害
今後の進路に当たるバージン諸島やプエルトリコは、先々週イルマの直撃・接近により、すでに甚大な被害を受けています。
上の写真は、イルマの上陸前後のバージン諸島周辺の衛星画像です。上陸後、高潮や暴風の影響で島々からすっかり緑がなくなっているのがわかります。一方プエルトリコでは3名が死亡、島の60%以上が停電に至りました。
プエルトリコの大脱出劇
イルマの接近に伴って、プエルトリコでは多くの住民が避難しましたが、その際に起きた「ある出来事」が話題になっています。
その出来事とは、デルタ航空が行った救出劇です。嵐が迫り来る中、アメリカ発の一機の航空機がプエルトリコ国際空港に着陸した後、わずか40分の間に乗客170名を乗せ飛び立ち、無事にニューヨークに帰還したという話です。
下の画像はその時のレーダーの様子ですが、雲と雲の間を巧みに飛行していたことがわかります。パイロットの技術もさることながら、同航空会社の気象チームとの連携も実に見事なものだったと思います。