お菓子形状の立体商標登録について:「きのこの山」はなぜすごいのか
明治の「きのこの山」のお菓子の形状そのものが立体商標登録された件については昨日書きました。実は、これは結構珍しいことであり、明治は誇ってよいと思います。
まず、立体商標全般について説明しておくと、以下のようなパターンに分かれます。
1. 看板・広告物としての立体物
ケンタッキーのカーネルサンダース人形等がこの例です。要は絵が立体物になっただけなので、立体商標固有の登録困難性はそれほどありません。
2. 商品の容器の形状
2-a. 文字やマーク付き
文字(企業名や商品名等)やマーク自体に識別性があれば立体商標として登録するのはそれほど困難ではありません。
2-b. 形状のみ
ここで一気に登録のハードルが上がります。使用による識別性(セカンダリーミーニング)、つまり、多くの消費者が「あーこの形はこの商品ね」となっている状態であることを立証しなければなりません。 このパターンの例としては先日書いたキッコーマンの醤油瓶の形状などがあります。サントリーの角瓶はこのパターンを追求しましたが認められず、企業名を付けて2-aのパターンで登録しています。
3. 商品の形状そのまんま
3-a. 文字やマーク付き
2-aと同様です。
3-b. 形状のみ
2-bと同様ですが、容器の場合よりもデザインの選択肢が狭いのでさらにハードルが高くなります。「きのこの山」はこのパターンにあたりますが、菓子(30類)の分野でこのパターンを検索してみると、他には、世界的に有名なHARIBOのグミくらいしかありません(タイトル画像参照)。過去には福岡銘菓のひよ子饅頭が登録されていましたが、同業他社による無効審判→審決取消訴訟を経て結局無効になっています。
ところで、今回調べたついでにわかりましたが、ひよ子社はひよ子饅頭の形状を再度立体商標として出願していました。拒絶査定となり、現在不服審判中です(前回も書きましたが、特許と異なり、商標の場合は書類を整備し直して再チャレンジすることが可能です。)