私にとって勇気とは覚悟すること:小平奈緒選手の言葉から
ピョンチャンオリンピックで金メダルを取った小平奈緒選手。メダルだけではなく、多くの名言を残していますが、これもとびきりの名言です。
「私にとって勇気とは覚悟することです」
■勇気とは
勇気とは、「ものおじせずに立ち向かう気力」(国語辞典)。
勇気とは、
「生きとし生ける者で、危険に出会って怖いと思わないものはない。真実の勇気とは、怖いと思うときに危険に立ち向かい行動できることじゃ。」 (オズの魔法使いが、弱虫ライオンに送った言葉:オズの魔法使いの心理学:性格とは何か? あなたもなりたい自分に。)
勇気とは、(アドラー風にいえば)
自分の課題に自分自身で取り組んでいくこと。自分の問題を人のせいにしないこと。自分の問題を、自分自身が解決すべき課題だと認識し、取り組むこと。自分が自分の人生の主役になること。
■覚悟とは
覚悟とは、1.悪い事態(に多大の努力がいるの)を予測して心の準備をすること。2.迷いを去り道理を悟ること(国語辞典)。
アドラーは、勇気づけのためには、次のことが必要だと言います。ありのままの自分を受け入れること。ほかの人を信じること。だれかの役に立つこと。これって、覚悟がいります。
自分が自分の課題に責任を持ち、自分の人生の主役になるということは、自分のことは自分で決断し、その結果に責任を持つということ、その覚悟です。
聖書の中で、パウロは語ります。「生きることはキリスト。死ぬこともまた益」。これは、どうでも良いという意味ではありません。最善を尽くすけれども、全ての結果を受け入れる覚悟です。
「武士道とは死ぬことと見つけたり」も、死んでもどうでも良いという意味ではないでしょう。ただ、死を怖がりすぎると、腰が引けて剣が振るえないそうです。この言葉と、アドラーの「嫌われる勇気」は、近い意味のような気がします。
覚悟とは、気高さであり、凛々しさであり、誇りであり、負け戦でも最後まで堂々と戦えることです。
■「私にとって」
西洋でも、東洋でも、様々な思想で、勇気や覚悟の大切さが言われています。名言が好きな人もいるでしょう。でも、名言を暗記しても、ほとんど役に立ちません。暗記した名言を安易に披露しても、誰も感動しないでしょう。
大切なのは、「私にとって」です。私自身が、あなた自身が、どう感じるかです。
小平選手は、多くの経験を通して、「私にとって」の勇気と覚悟を学んだのでしょう。
■「勇気とは覚悟すること」
誰だって、不安で怖い。大舞台なら、なおさらです。でも、孤独も敗北も、何かを失う可能性も、全て覚悟して受け入れて前に進むのが、勇気です。
試合に負けない確実な方法は何でしょうか。それは、試合に出ないことです。
オリンピックで挫折し、自殺する人もいます。オリンピックで失敗し、次の四年間を謝罪し続ける人もいます。選手たちは、多くのことを犠牲にして、オリンピックを目指します。その努力が、いつもメダルという形で報われるわけではありません。
さて、勇気を持って生きている人は、スポーツ選手だけではありません。誰も注目しない、地味な毎日でも、凄まじい勇気を持って歩み続けている人がいます。病気と戦っている人、家族の介護をしている人、お客様のために奮闘している人。罪悪感の中で、生きている人々。
メダリストたちは、どんなに褒めても足りないほど素晴らしい。そして、全ての勇気ある人たちに、拍手したいと思います。私たちみんなが、「私にとっての勇気」を持って生きていきたいと思います。
「私にとって勇気とは覚悟することです」(小平奈緒)。