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羽生九段A級復帰の可能性は――第82期順位戦B級1組羽生善治九段対戦成績

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
今年6月、羽生九段は日本将棋連盟の会長に就任した(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 第82期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)B級1組1回戦は6月15日に開幕する。第80期順位戦で過去名人在位9期を含む29期連続で守ってきたA級の座から陥落した羽生善治九段(52)は、前期B級1組では6勝6敗の成績で復帰ならなかった。

 今月、日本将棋連盟の会長に就任したばかりの羽生九段が組織運営の要職を務めながら2期ぶりのA級復帰を果たせるかどうか、データを基に予想してみた。

若手との対戦が昇級争いのカギに

<羽生九段と全対局者の対戦成績>(対局順・段位の後は年齢)

対大橋貴洸七段(30)0勝0敗

対澤田真吾七段(31)2勝1敗

対佐藤康光九段(53)112勝55敗

対横山泰明七段(42)1勝1敗

対屋敷伸之九段(51)25勝8敗

対増田康宏七段(25)0勝1敗

対山崎隆之八段(42)20勝5敗

対近藤誠也七段(26)6勝2敗

対木村一基九段(49)35勝18敗

対千田翔太七段(29)4勝3敗

対糸谷哲郎八段(34)13勝11敗

対三浦弘行九段(49)37勝11敗

 タイトル経験者や元A級棋士が多く「鬼のすみか」とも呼ばれるB級1組は13人による総当たりで争われる。昇級は2名、降級は3名。

 過去の対戦成績を見ると羽生九段はベテラン棋士に対しては大きく勝ち越しているが、20代から30代前半の若手とはほぼ互角の星取り。前期指し分けのため順位は6位と「頭ハネ」(同星の場合は順位上位者が昇級)の可能性もあり昇級候補の一番手とは言い難い。

 順位戦は持ち時間6時間、12局の長丁場だけに体力のある若手が有利だ。前期8勝4敗の近藤七段と澤田七段、B級2組から昇級したばかりで勢いのある大橋七段、増田七段を中心とした若手の昇級争いに羽生九段が加わる展開を予想する。

 羽生九段にとっては初顔合わせとなる1回戦の大橋七段戦、リーグ中盤6回戦の増田七段戦がA級復帰のカギを握ると見ている。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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