西日本と東海地方の梅雨末期豪雨もあと少し
朝鮮半島南部の低気圧
朝鮮半島南部に上空に寒気を伴った低気圧があってゆっくり東進しています。
そして、梅雨前線が西日本の南西から北東にのびて停滞しています(図1)。
教科書に載っている梅雨時の天気図は、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧の間に梅雨前線がほぼ東西にのびています。
梅雨前線は、教科書のように、ほぼ東西にのびていることが多いのですが、現在の梅雨前線は少し違います。
このように、前線が南西から北東にのびている形になったとき、前線の東側では南から暖かくて湿った空気が北上しやすく、前線の西側では北から寒気が南下しやすくなります。
つまり、前線の東側に位置する西日本・東海地方では、南から暖かくて湿った空気が入りやすく、大気が非常に不安定となって局地的に大雨が降りやすくなります。
しかも、低気圧の動きがゆっくりということは、局地的に大雨が降りやすい状態が続くことになります。
気象衛星から見ると、丸い雲の塊があり、梅雨前線の雲が西日本の南西方向から北東にのびています(タイトル画像参照)。
西日本では、九州を中心として、この雲の下で大雨が降っているのです。
雨量予報
令和2年(2020年)7月24日(金)は、「スポーツの日」の祝日で、東京オリンピックの開催が予定されていました。
この祝日は、昭和39年(1964年)10月10日に開幕した東京オリンピックを記念して、10月10日が「体育の日」という祝日になり、平成12年(2000年)から10月の第2月曜日に変更され、令和2年(2020年)から「スポーツの日」と名称変更になったものです。
そして、令和2年(2020年)、一年限りで7月24日に変更となったのは、東京オリンピックの開会式の日に合わせるためでしたが、世界的なコロナウィルスの流行で東京オリンピックが一年延期となっています。
昭和39年(1964年)10月10日の東京オリンピック開幕日は、「オリンピック晴れ」と呼ばれるほどの晴天でしたが、56年後、令和2年(2020年)7月24日の幻のオリンピック開幕日は、梅雨前線によって、ほぼ全国的に雨となりました。
東京オリンピックの涙雨というより、九州を中心に災害をもたらすような危険な雨となりました(図2)。
7月25日(土)も、26日(日)も、東海地方から西日本の太平洋側を中心に大雨が続く予報です(図3)。
気象庁では、5日先までに警報を発表する可能性を「高」「中」の2段階で表現しています。
これによると、7月25日(土)は岐阜、広島、徳島、鹿児島の各県で、26日(日)は岐阜県で、大雨警報を発表する可能性が「高」となっています(図4)。
また、西日本や東日本、福島県でも、大雨警報を発表する可能性が「中」となっていますので、土砂災害に厳重に警戒し、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒・注意してください。
大気が非常に不安定で、積乱雲が発達して竜巻などの激しい突風や落雷の可能性もあります。
発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど安全確保に努めてください。
ただ週明け以降は様子が少し変わってきます。
来週は梅雨明けの地方も?
梅雨がないとされている北海道と、梅雨が明けた奄美・沖縄地方を除いた地方では梅雨明けが遅れています(表)。
各地の10日先までの天気予報を見ると、週明けは東北・北陸を除いて、傘マーク(雨)の予報の日がほぼなくなります(図5)。
九州地方は、北部も南部も黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)はなく、白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が続きますので、ひょっとしたら週明けにも梅雨が明けるかもしれません。
東海から四国地方も、黒雲マークの予報がとれれば来週にも梅雨明けの可能性があります。
ただ、難しいのは関東甲信地方です。
東京の週明け以降の予報では、傘マークがなく、黒雲マークも多い予報です。
他の地方に先駆けて梅雨明けになる可能性も、逆に、曇り空が長引いて梅雨明けが8月にずれる可能性もあるからです。
とはいえ、梅雨末期豪雨はあと少しです。
引き続き雨に警戒とともに、今まで以上に熱中症にも警戒が必要です。
というのは、来週は各地で気温が上昇し、最高気温が30度以上の真夏日が続く予報だからです(図6)。
タイトル画像、図1、図2、図3、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。
表の出典:気象庁ホームページ。