主な新興国/米国経済ニュース(10日)
米著名投資家アイカーン氏、ファミリー・ダラーの持ち株比率9%超に
米国の著名な投資家カール・アイカーン氏は先週末、米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で、“1ドルショップ”で知られる米ディスカウント小売りチェーン大手ファミリー・ダラー・ストアーズ<FDR>の持ち株比率が9.4%に達したことを明らかにした。同氏がファミリー・ダラーの持ち株比率を引き上げ最大株主となったことを受けて、同社の株価が10%を超える大幅高となった。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが伝えた。
また、アイカーン氏は自身のツイッターで、「持ち株比率を9%としたことで、今後はファミリー・ダラーの経営陣と株式価値を高めるための戦略について話し合っていく」と述べている。同社の株価は6日、0.7%高の60.53ドルで引けたあとの時間外取引で、米東部時間午後7時59分時点で10.16%高の66.68ドルと、急伸した。
-----
米ハーツ、過去3年の決算修正で14年1-3月期決算発表さらに遅れる見通し
米2位のレンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングス<HTZ>は先週末に米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で、3年前の2011年度決算書にまで遡って決算数値を訂正する必要があり、それに伴い、2014年1-3月期(第1四半期)決算報告書の発表も遅れる見通しを明らかにした。米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などが伝えた。
同社では、今回の決算書の見直しの必要性は社内監査の結果に基づくものだとしているが、これより先、同社は5月13日に、過去の通期決算で誤びゅうが見つかったため、2011年に遡って決算を訂正して修正申告する必要があることを明らかにし、2014年第1四半期決算報告書の発表を6月9日まで延期するとしたが、今回のSECへの報告書では、「9日に発表できる状況にはない。ただ、SECに修正報告書を提出すると同時に第1四半期の決算書も提出する」と指摘している。
2011年度決算の誤びゅうは、ブラジル事業の収益に関するもので、修正申告では税引き前利益が従来の3億0560万ドル(約310億円)から2億8960万‐2億9760万ドル(約300億-305億円)へ、また、最終利益も従来の1億8380万ドル(約190億円)から1億7400万‐1億7890万ドル(約178億-183億円)へ、それぞれ下方修正されるとしていた。
また、今回のSECへの報告書では、「2011年の誤びゅうを修正するため、2012年と2013年の通期決算の修正も必要になるが、この作業が完了するまでにはまだ時間がかかる見込みだ」としている。
-----
ブルガリア首相、ロシアの送ガス管網「サウスストリーム」の建設中断を指示
ブルガリアのプラメン・オレシャルスキ首相は8日、米国のジョン・マケイン上院議員(共和党)ら米国の議員団と会談後、記者団に対し、ロシア産天然ガスを黒海経由でウクライナを通さずに欧州各国に送るガスパイプライン「サウスストリーム」(輸送量は年間630億立方メートル)の建設工事の一時中断を指示したことを明らかにした。ロシアのニュースチャンネルRT(電子版)が伝えた。
ブルガリアはサウスストリームの最初の経由地となる国で、これより先、EU(欧州連合)の行政執行機関であるEC(欧州委員会)が3日に、ブルガリア政府に対し、同国に接続するガスパイプラインの建設工事を一時停止するよう要請していた。同首相は、「ECの要請に応じ、一時工事を中断するよう指示した」と述べている。マケイン議員も「ブルガリアが欧州の同胞と協力してサウスストリームの問題の解決を図るべきだ」と指摘している。
サウスストリームは初期のウクライナの政治混乱時には建設推進の必要性が高まったが、現在は皮肉にもウクライナの政治混乱が建設計画を頓挫させる可能性が出てきている。この背景にはウクライナのEU加盟を支持するEUとしてはサウスストリームの建設問題でウクライナを刺激したくない思惑がある。
サウスパイプラインの建設投資額は155億ユーロ(約2.2兆円)で、2012年に工事が開始され、計画では2018年までに欧州の天然ガス需要の15%相当をフル供給することになっているが、第1段階で150億立方メートルのロシア産天然ガスを2016年1-3月期から供給する予定だ。
-----
日野自、インドネシア中部ジャワ州にレンジャーの最新モデル投入
日野自動車のインドネシア総販売元である日野モーター・セールス・インドネシア(HMSI)は先週末、中部ジャワ州の貨物輸送トラック市場を強化する一環として、同社の「レンジャー」シリーズの最新モデル「FC 190 J」の販売を同州の州都スマランで開始した。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が8日に伝えた。
HMSIのサンティコ・ワル取締役(販売担当)は、「最新モデルの投入によって、同州のさまざまな業界からのニーズに応えていくことが可能となり、市場の強化につながる」と述べている。最新モデルは同州の短距離輸送に適するよう車体を最大化し搬送スペースを広げたのが特徴だとしている。
同社の貨物輸送トラックのスマラン市場でのシェアは2012年の60%から2013年は62.48%に拡大したが、今回の最新モデルの投入で2014年はさらに5%拡大すると見ている。
-----
ブラジル中銀週報:2014年GDP伸び率見通し、2週連続で下方修正
ブラジル中央銀行が9日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2014年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比1.5%増から1.44%増へ下方修正された。下方修正は2週連続。1カ月前の予想は1.69%増だった。一方、2015年のGDP伸び率見通しについても前週予想の同1.85%増から1.8%増へ下方修正された。下方修正は3週連続。1カ月前の予想は1.9%増だった。
また、7月15-16日に開かれる中銀の金融政策決定会合時の政策金利の見通しは11%のまま据え置かれた。据え置きは4週連続。2014年末時点の政策金利見通しも、前週予想の11%のまま据え置かれた。1カ月前の予想は11.25%だった。2015年末時点の見通しも前週予想の12%のまま据え置かれた。据え置きは2週連続。1カ月前の予想は12.25%だった。
IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2014年は前週予想の前年比6.47%上昇のまま据え置かれた。据え置きは2週連続。1カ月前の予想は6.39%上昇だった。2015年の見通しは前週予想の6.01%上昇から6.03%上昇へ下方修正(悪化方向)された。1カ月前の予想は6%上昇だった。
為替レートの見通しは、2014年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.4レアルのまま据え置かれた。2015年末時点の対ドルレートも前週予想の2.5レアルのまま据え置かれた。(了)