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ア・リーグのハンク・アーロン賞は大谷翔平で決まり。ナ・リーグはロナルド・アクーニャJr.!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・オルソン(左)とロナルド・アクーニャJr. Sep 1, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月6日、ハンク・アーロン賞にノミネートされた選手が発表になった。この賞は、謳い文句としては、オフェンス全体のパフォーマンスがリーグ最高の選手に贈られる。スタートしたのは、1999年だ。選出の方法は何度か変わっていて、現在は、殿堂選手による委員会とファンの投票によって決まる。

 各リーグとも、ノミネートは9人。

 ア・リーグは、ヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)、ヤンディ・ディアズ(タンパベイ・レイズ)、アドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、フリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)、コリー・シーガー(レンジャーズ)、マーカス・シミエン(レンジャーズ)、カイル・タッカー(アストロズ)。

 ナ・リーグは、ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)、ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)、コディ・ベリンジャー(シカゴ・カブス)、ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)、コービン・キャロル(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、フレディ・フリーマン(ドジャース)、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)、マット・オルソン(ブレーブス)、ホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)だ。

 ア・リーグの受賞者は、大谷で決まりだろう。44本塁打、出塁率.412、OPS1.066は、いずれもリーグ1位。それぞれの2位は、ホームランが39本のガルシア、出塁率が.410のディアズ、OPSは1.013のシーガーだ。規定打席未満のジャッジは、37本塁打、出塁率.406、OPS1.019。高水準ながら、どれも大谷に及ばない。

 また、1999年以降、ホームラン、出塁率、OPSの3部門ともリーグ1位は、今シーズンの大谷が6人目だ(1位タイを含む)。これまでの5人、2001年のバリー・ボンズ、2009年のアルバート・プーホルス、2015年のハーパー(当時ワシントン・ナショナルズ)、2021年のブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)、2022年のジャッジは、いずれもハンク・アーロン賞を受賞している。

筆者作成
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 一方、ナ・リーグのトップは、ホームランが54本のオルソン、出塁率とOPSは.416と1.012のアクーニャJr.だ。アクーニャJr.は、両リーグ最多の73盗塁も記録している。ハンク・アーロン賞は、バッティングだけにとどまらず、オフェンスが最高の選手ゆえ、それほど大きな要素ではないかもしれないが、盗塁も判断材料に含まれる。一方、ベッツは、ライトに加え、二塁と遊撃も守ったが、こちらはディフェンスなので、判断材料にはならない。

 ホームラン、出塁率、OPSの3部門ともトップ3にランクインしているのは、アクーニャJr.だけだ。ホームランの2位と3位、47本のカイル・シュワーバー(フィリーズ)と46本のピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)は、ノミネートされていない。2人とも、OPSは.825未満。22位の.817と19位の.822だ。

 3部門ともトップ10は、4位(41本)と1位(.416)と1位(1.012)のアクーニャJr.の他に3人。オルソンが1位(54本)と7位(.389)と2位(.993)、ベッツが6位(39本)と4位(.408)と3位(.987)、ソトは10位(35本)と2位(.410)と5位(.929)だ。フリーマンは、3位の出塁率.410と4位のOPS.977を記録したが、ホームランは16位タイの29本。二塁打が59本と多く、こちらは2位のベッツと19本の差がある。

 こうして見てくると、ナ・リーグも、アクーニャJr.以外の受賞は少し考えにくい。

 ちなみに、ハンク・アーロンの場合、ホームラン、出塁率、OPSの3部門ともリーグ1位のシーズンはなかった。いずれもトップ3は3度。1959年が3位(39本)と2位(.401)と1位(1.037)、1963年が1位タイ(44本)と2位(.391)と1位(.977)、1971年は2位(47本)と3位(.410)と1位(1.079)だ。本塁打王は4度、OPS1位は3度を数えるが、出塁率1位のシーズンは皆無だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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