JR西日本「モバイルICOCA」3月開始 Suicaとの違いは?
西日本旅客鉄道(JR西日本)は、「モバイルICOCA」を3月22日より提供開始します。
Suica、PASMOに続く交通系ICのスマホ対応として注目されます。いったいどういう狙いがあるのか、同社の広報に聞いてみました。
JR西の新ポイントとも連携
JR西日本の「ICOCA(イコカ)」は、交通系ICカードとしてこれまでに約2800万枚を発行しており、西日本各地で使われているといいます。
Suicaと同様に電車やバスに乗れるだけでなく、買い物にも利用できます。西日本では「ICOCA対応」を前面に出した自動販売機やロッカーをよく見かけます。
モバイルICOCAについては、まずは3月22日におサイフケータイが使えるAndroid端末に対応。iOSへの対応は検討中としています。
ICOCAの板カードから移行する機能はなく、モバイルICOCAを新規発行する必要があります。これまでのカードは返却するか、そのまま併用することを想定しているといいます。
チャージは「モバイルICOCAアプリ」に登録したクレジットカードのほかに、対応店舗やセブン銀行ATMで現金チャージも利用できます。
駅の券売機は、ICOCAの板カードを差し込むタイプでは利用できませんが、スマホに対応した新しい券売機でチャージ可能としています。
ICOCAと同様に、モバイルICOCAも自動改札機でのオートチャージには対応していません。「改札機の改修が必要になることもあり、対応できていないが、検討していく」(JR西日本広報)といいます。
利用履歴などはスマホ用のアプリから確認できるほか、モバイルSuicaのような会員向けWebサイトも準備中とのこと。詳細は3月中旬に案内する予定としています。
ところで、これまでICOCAを発行するには西日本や四国に行く必要がありましたが、モバイルに対応することで、全国でICOCAを新規発行できるようになります。
JR西日本として、ICOCAを全国展開する予定はあるのか気になるところですが、「将来的に(全国展開が)できればいいとは思うが、まずはこれまでバラバラだったIDとポイントをつなげ、西日本エリアの活性化を図りたい」(JR西日本広報)としています。
モバイルICOCA独自のメリットとして挙げるのが、この「ポイント」です。JR西日本は3月7日にポイント制度をリニューアルし、新たに「WESTER(ウェスター)ポイント」が始まります。
これまでの「ICOCAポイント」や「WESPOポイント」をこのWESTERポイントに順次統合するとのことから、東日本エリアにおけるJRE POINTに匹敵する存在になりそうです。
また、サービス開始から「当面の間」のキャンペーンとして、JR西日本のクレジットカード「J-WESTカード」からのチャージで、ゴールドカードなら3%、一般カードでも1.5%のポイントがたまる予定です。
すでにモバイルSuicaやモバイルPASMOを使っている人でも、これからWESTERポイントをためていきたい人なら、モバイルICOCAに乗り換える価値はありそうです。
iOS対応は?
モバイルICOCAはAndroidで先行して始まることから、iOS対応を求める声が多数上がっています。
具体的にiOS対応の準備が進んでいるのかどうかについて聞いてみたものの、「検討中」(JR西日本広報)との回答でした。
また、モバイルICOCAの会員数は2027年度末の目標として「500万人」を掲げています。モバイルSuicaと比べても、これはiOSとAndroidを合算した数字と考えられますが、この点についてもJR西日本は内訳を回答できないとしています。
iOS対応については「検討中」以外のコメントを出せない様子でしたが、筆者の経験上、こういう場合は「何らかの守秘義務契約があって言えない」状態に陥っている可能性があります。
モバイルPASMOの事例では、2020年3月18日にAndroidで始まり、iOS対応は半年遅れとなる2020年10月6日でした。モバイルICOCAについても次のiOS以降となるか、それとも「前倒し」でのリリースはあるか、注目といえるでしょう。
追記:
4月17日、JR西日本は「ICOCA」のApple Pay対応について「2023年内に開始」と発表しました。
追記:
6月27日、「Apple PayのICOCA」が始まりました。iPhoneやApple Watchに対応しています。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/230627_00_press_icoca.pdf