40歳、年収300万円、独身会社員の年金受給額は138万円
ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。「老後資金2000万円問題」が日本では大変な話題となりました。
この金額は夫婦という前提条件で、試算の年収が高いなど一部の人にしか当てはまりません。40歳、年収300万円、独身会社員の老後はどうなるのかを解説します。
老後の年金はいくらもらえるのでしょうか。日本年金機構の「ねんきんネット」や三井住友銀行の年金試算シミュレーションなどで簡易な試算は可能です。
簡易な資産を利用して、40歳、年収300万円、独身会社員の年金額を試算してみました。あくまでも試算のために実際にもらえる年金額ではないことはご留意ください。ですが、目安にはなるはずです。
22歳で働き始めて、60歳まで働く、年収は300万円という大雑把な試算になりますが、65歳以降の年金額は月11.5万円(年間138万円)に。同じ条件で年収が368万円の場合は(月12.7万円)年間152.4万円になりました。
「H31年金額 厚生労働省」のデータで計算されている平均的な報酬(賞与含む月額換算)は42.8万円で40年間就業したケースと非常に高い年収額が前提条件になっています。
ですが、1993〜2003年の就職氷河期に就職をした世代は正社員になれなかった人も多く、前提条件が大きく変わります。
例えば、年収300万円の人が単身で老後を送るにはどれほどの備えが必要でしょうか。
「総務省家計調査2017年」によると、高齢単身無職世帯の1カ月の消費支出および非消費支出の平均額は15万4742円です。年金額は月11.5万円ならば、月約4万円の不足(赤字)となります。つまり、年間約48万円、65歳からの90歳までの25年間で1200万円の生活費が不足します。
年収368万円の単身者のケースでは年金額月12.7万円に対して支出が月15万4742円ならば、月約2.8万円の不足(年間約34万円)となります。25年間で850万円の生活費の不足となります。
また、この生活費は持ち家が前提となっていて、介護費用は含まれていないのが大きな落とし穴です。賃貸の場合、施設に入居する場合はさらに生活費がかさむ場合があります。
日本は2025年に団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者になるという社会問題を抱えています。その時までに高齢者向けの安いサービスなどが導入されればよいのですが、このままでは大量の介護難民が発生することが予測されています。
老後お金に困らないためには長く働き続ける、資産形成をできるだけ早いうちから始めることが大切になります。