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前年に100打数以上の選手が、今年の新人王を受賞する。このパターンは過去にもあった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)Oct 8, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2023年の新人王は、ガナー・ヘンダーソン(ボルティモア・オリオールズ)とコービン・キャロル(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が受賞した。

 2人とも、メジャーデビューしたのは、昨年8月だ。昨シーズンが終わるまでに、ヘンダーソンは116打数(34試合)、キャロルは104打数(32試合)を記録したが、130打数を超えなかったので、今シーズンも引き続き、ルーキー資格を持っていた。

 一方、前年に新人王を受賞した2人、フリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)とマイケル・ハリス2世(アトランタ・ブレーブス)は、どちらも、メジャーリーグ1年目だった。ロドリゲスの初出場は、昨シーズンの開幕戦。ハリス2世は、昨年5月にデビューした。

 もちろん、ヘンダーソンとキャロルの受賞に、ケチをつけたり、異議を唱えたりする気はない。彼らのようなパターンは、過去にもあった。

 例えば、2012年に新人王となったマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)は、2011年に123打数(40試合)を記録している。1997年の新人王、スコット・ローレンは、前年の打数が130ちょうど(37試合)だ。

 もっとも、ルーキー資格を翌シーズンに持ち越せるよう、ローレンあるいはフィラデルフィア・フィリーズが、意図して「寸止め」にしたわけではないようだ。ローレンが130打数に達したのは、1996年9月7日の1回裏だ。続いて、3回裏も打席に立ち、死球を受けた。この場合、打席と違い、打数は増えない。そして、4回表の途中に試合から退いた。診断の結果、右腕の骨折が判明し、そのままシーズンを終えた。

 なかには、メジャーリーグ3年目以降に新人王を受賞した選手もいる。最近では、2021年のランディ・アロザレイナ(タンパベイ・レイズ)がそうだ。2019~20年の打数は、計84(42試合)。サービス・タイムの合計(9月以降を除く)も、45日を超えていなかった。また、ジオバニー・ソトが新人王に選ばれたのは、メジャーリーグ4年目の2008年だった。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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